日誌2 安心安全な暴走を

木葉このは「ストレスが貯まっています」


可川かがわ「え?」


木葉「だから、ストレスが貯まっています」


可川「えーと?」


浪岡なみおか「木葉は今、とんでもなくイラついてるってことですよ。可川副部長」


可川「う、うん?」


浪岡「だから見逃してやって下さい。この俺の制服に免じて」


可川「いやいやいやいや、いきなり廊下で襟首掴まれて部室に放り込まれた俺の身になって!?一応、俺、2年!君らの、先輩!」


浪岡「それは申し訳ないですけど、俺の襟も見て下さいよ。アイツが掴んで俺のことぶん投げたせいで軽く伸びちまって


ぱたたたたたっ


可川・浪岡「「あ」」


ガラガラガラ


音山おとやま「ごめん!掃除当番だったの言い忘れてたぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!???」


ズシャアアアアア


木葉「遅いですよ部長!それでも部長ですか!」


音山「っ、急に襟首掴んで部室に放り込む1年に言われたくない!おい浪岡!木葉はどうしたんだ!?」


可川「まさか同じような文句を言うとは」


浪岡「どうして俺が木葉の付き人みたいな扱いなのかは謎っすが、実は」





音山「なるほどねぇ。テストの採点ミスにセンセー側の教科書の指定箇所間違い、1時間挟んでまた採点ミス。オマケでクラスの前で清掃当番に間違えられる、と。」


木葉「俺は別に間違えるのが悪いとは思いません。誰だって間違いはするし、キリストではないですが、間違いを糾弾できるのは間違えたことのない人だけです。そんな人いませんので誰も他人ミスに口出しは出来ません。ですが、それと晒し者にされるのはまた別です!しかも全て僕が悪いように!冤罪だ!我が何をしたと!?」


浪岡「おーい、一人称がブレてんぞ。まったく」


音山「マジで木葉ってオンオフが激しいんだな。少しびっくりした。」


浪岡「正直俺も慣れないですよ。ついでに、こういう時って必ず1回静かに噴火してからデッカく長く噴火するんで尚更タチ悪くて。部長も、襟首見といた方が良いですよ」


音山「うん、そーする」


木葉「大体、自分はキチンと確認した上で教科書を読んだのに『違う』とか。だから確認したって言うのに。さもそれがしが話を聞いていないように


音山「呪詛が止まらないね」


浪岡「どうするか」


可川「木葉はどうやったらスッキリするんだ?」


浪岡「多分声届いてないんで俺が代わりに答えますけど、コイツは体動かせば、大抵のことは流しますね」


音山「運動部には入ってないの?我圓高校うちって兼部も認められてるだろ」


可川「確か、入部予定だった柔道部が無くなってたからこっちに来たって言ってたよな。でも俺らが相手する訳にもいかないしな」


音山「いや当たり前でしょ」


浪岡「腐っても黒帯なんで止めておいた方がいいですよ」


木葉「誰が腐ってるってぇ、浪岡ぁ」


浪岡「なんでそれは聞こえてるんだよっ」


音山「どうしたもんか。キャッチボールでもする?」


可川「・・・いや、俺に良い案がある」


音山「『良い案』?」


可川「ここは実現部らしく行こうぜ、部長様」





浪岡「家庭科教室なんてよく開けて貰えましたね」


可川「まぁ、タイミングが良かったってことで。」


音山「なぁ?俺、部長なのに度々パシりにされてるんだけど?特に今回は恥ずかしかったんだけど?なに、おままごとセットの包丁って?なにに使うん?可川おまえを捌けば良いのか?」


可川「どうどう。音山までキレたらどうすんだ。次は俺が走るから、な?」


音山「ならいーけど。で、どうするの?副部長様」


可川「ふふふ。今回の実現部は、題して『安心安全な暴走を』だ!」


音山・可川「「???」」


可川「よくマンガとかであるだろ?キレたキャラが武器を持ち出して、それを周りが抑えるってシーン。アレを木葉相手にやれば、良いんじゃないかってな。木葉はひとしきり暴れられるし、俺らが複数人で抑えても男子高校生の沽券には関わらない!しかも実現部らしいじゃないか。みんなも1回はやってみたいって考えただろ?」


音山「おー、おう。おう?・・・いや、もう何でもいいや」


浪岡「珍しく適当ですね」


音山「俺はもう、100均でおままごとセット買ってきたのでHPもMPも尽きた。それに可川の案は、実現部としては受け入れなきゃいけない奴だから・・・。あと、それで木葉が浄化できるならヨシ。あのバーサーカー手に負えんよ」


浪岡「憑きもの扱いっすか。ま、良いか。そうと来たらやりましょう!俺、木葉連れて来ます!」


音山・可川「「いってらー」」


浪岡「連行してきました!」


音山・可川「「はっや!?」」


木葉「なんだ浪岡!急に襟首掴んで引っ張るんじゃない!」


音山「うーん、デジャビュ」


可川「悪いな木葉。じゃ、これ持って」


木葉「?オモチャの包丁?なんです?」


可川「今から実現部としての活動をするからな。それ持って暴れてくれ。俺らは全力で抑える」


木葉「???よく分かんないですが、暴れれば良いんですね!?」


可川「そうそう!」


音山「急にキラキラし始めたな」


浪岡「木葉もあんま脳みそ動いてないっぽいな」


木葉「ひぃゃっは~~~~~~!!!」


音山「って、いってぇえ!オモチャの威力じゃねぇ!」


可川「何してんだ!早く抑えるぞ!」


木葉「あんの野郎があああああああ」


浪岡「速ぇし、3人掛かりでも動けるってゴリラかコイツは!?」


可川「耐えろ!頑張れ!」


木葉「うおおおおおおおお!」


音山「全然『安心安全』じゃねぇええええ」






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俺ら妄想実現部! 猫助 @NEKOSUKE2

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