俺ら妄想実現部!

猫助

日誌1 学校脱出大作戦

音山おとやま「なぁ!学校の地図をでっかくするにはどうしたらいいんだ?」

 

可川かがわ「生徒手帳の後ろのやつを拡大コピーすればイケるだろ。ああ、職員室で頼むなよ。足がつく。」


音山「分かった!ちょっとコンビニ行ってくる!」


木葉このは「今度は何をするんですか可川副部長?」


波岡なみおか「今日はな、この俺が提案したんだ。題して、『学校脱出大作戦』!この我圓がえん高校にテロリストが来た時にどうするか。実際に学校内を動いてシミュレーションしてみようぜっていう企画!みんなも一度は想像するだろ?対テロリスト。ねっむい授業中とかさ。」


可川「あと長い校長の話とかでな。今テロリストが来たら良いなーとか、来たらどうするかとかつい考えるな。」

 

木葉「少しくらい聞いてあげましょうよ。いくらつまらないとはいえ。」

 

波岡「いやお前が一番辛辣だわ。」


音山「ただいまー」


波岡「あ、お帰りなさい部長!」

 

可川「随分早かったな?」


音山「楽しみ過ぎて、走って来ちまった。少し折れちまったけどゴメンな。」


波岡「いやいや。こういう感じのが、なんか雰囲気出ますよ。流石は実現部の部長っす!」


木葉「偶然の産物でしょうが。」


可川「あと他に要る物はなんだ?武器とかか?」


波岡「いえ。今回の妄想は、式典中に学校を襲撃してきたテロリスト達に見つからないよう学校を抜け出し、外に助けを求めてみんなを助けるっていうタイプなんで。隠密行動かつ、武器は現地調達で行きます!」


木葉「学校で武器の現地調達ってなんだよ。」


波岡「カッターとか?」


木葉「普通に式典にカッター持ち込む奴がいるか?ある意味テロリストより怖いわ。」


波岡「ふっ。疑問文に疑問文を打ち返すんじゃないよ木葉君。当然、タイミング良く持っている時にテロリストが襲撃してくるのさ。」


木葉「都合良すぎて草。」


可川「じゃあこの地図は?」


音山「俺らは見るまでもないし、何に使うんだ?」


波岡「これは、テロリスト側が見るんですよ。予めどこをどうするか考える時に地図は必須でしょう。それを掻い潜るのが今回のテーマです。」


音山「なるほどなぁ。それで、誰がテロリスト側を担当するんだ?全員脱出側じゃつまらないだろ?」


波岡「お、れ、ですっ!」


木葉「いやお前がそっちをやるのか!?」





可川「大分進んだが、言い出しっぺだけあって、中々考えてあるな。」


音山「これ見張りのマークだよね。さっきから行く先行く先にポスターで印が付いてる。俺らアイツの策略にハマってないか?」


木葉「当たり前ですが、窓やドアの出入口系は全て見張りが居る設定ですね。人数に差はありますが、現実的にもそういった場所からの脱出は不可能でしょう。」


音山「ホント色々作り込まれてんなぁ。というか体育館から出るだけでも大変だった。並んでいる生徒の間を匍匐前進して、あの下の小窓から廊下に出るって。いや俺も考えたことあるけどさ。実際にやると結構きついな。メンタル的に。」


可川「想定とはいえあそこまでする必要あったか?他にも言いたいことはあるが。」


木葉「バスケ部の目が痛過ぎました。もうあの体育館使えません。」


可川「俺と音山なんか担任にも見られたぞ。明日のホームルームが辛い。」


音山「まぁ、可愛い後輩のために人肌脱ぐカッコイイ先輩って肩書きも悪くはないけどさー。」

 

木葉「波岡アイツにとっては、人目を気にせず指示通り匍匐前進してくれるのがカッコイイ先輩なんですかね?だとしたら来年、クソ楽しみです。」


可川「やっぱり意外と黒いな、お前。」


木葉「?なんのことですか?」


可川「無自覚怖っ。」


音山「・・・ん?おい、アレなんだ?」


可川「・・・アレは、見張りのマーク、の色違いか?」


木葉「なにか書いてありますね。確かこの廊下の先が指定された脱出ポイントですが。えーと?『よくぞここまで辿り着けた。』うるせぇよ。『この先、生物兵器班が待ち構えている。像を7秒で眠らせることができる協力な毒ガスを持ち、待ち構えている。』まず像を7秒って煽り文句として微妙な長さだし変換ミスってるし、対象を眠らせるのか殺すのかどっちかにしろ。あと待ち構えているって何で2回言った。『さあ、カッターしかない貧弱な実現部はどう切り抜ける?では、発見されるまで、あと6秒』ってハァ!?」


可川「どういうことだっ、って、うわあああああああああ!!!???なんだなんだ!?」

 

音山「うわあああああ!視界がぁあ!白いいいいいいい!」


木葉「先輩!ゴホッゲホッゲホッ、なんだこれ、不味い!煙い!」


波岡「ハーハッハッハッハッハ。所詮、実現部とも言えどもこの程度よ。この学校はこの波岡様の物だぁ!」


木葉「なにしやがる波岡ぁぁぁぁ!!!!」


波岡「いっでぇええっ!?武道家が拳を出すなよ!」


木葉「なんっでもいいから説明しろおお!」





音山「で?俺らここで御陀仏だったんだが、どうすれば良かったんだ?」


波岡「ヒントはありましたよぉ。だからそんな青筋立てないで下さい。」


木葉「一体どこにあったんだ。どこにも見張りがいたし、最後は6秒も経たない内に毒ガス(笑)がきたぞ。」


波岡「そこまで読んでたなら分かるだろ?ほら、『カッターしかない』って。あと6秒は木葉おまえがツッコんでる間に終わった。」


木葉「意味分かんねぇよ、二重に。」


可川「『カッターしかない』。つまり、これで戦えと?」


波岡「流石っす副部長!そう!あそこから引き返して、手薄な場所の見張りを倒して外に出る!これぞパーフェクトプランっ!像が3秒で倒れるモンに人間が敵う訳ないじゃないですか。これはテロリスト側としてのブラフです!」


音山「7秒が3秒になってる上にやっぱり毒ガスだったし。かけられたのは大量のチョークの粉だったけど。あとテロリストをカッターで倒せる訳ないだろ。」


波岡「いやいや。今回は倒せるでしょう?ポスター破けば良いだけなんですから。」


音山・可川・木葉「「「は?」」」


波岡「いや、手持ちの武器でどうこうするのもセットで対テロリスト妄想でしょう!?それを実現させるためにポスターにしたのに!」


音山「・・・・・・・・・」


木葉「・・・・・・・・・」


可川「・・・・・・・・・それで良かったのかよ。あと倒すって全然隠密じゃないからな。」


波岡「隠密、なんだから静かに倒せばokです。」


音山「なんつーかかんつーか、アホの天才だな。波岡。」


波岡「ありがとうございます!」


音山「褒めてねーわ。」


波岡「で?どうします?リベンジは大歓迎ですよっ。」


音山・可川・木葉「「「二度とやらねーよ!!!!!!!」」」

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