『玉骨』

 タイトルの「玉骨」。

これは「ぎょっこつ」と読み「梅」の枝、「貴人または美人の骨」という意味があるそうです。

タイトルから作者様らしいトーンが感じられます。


 登場人物は「業平なりひら」と呼びかけられる語り手と、訪ねて行った先の「八重未亡人」、そして二人の会話によって描写される「かおる」。

この三人はそれぞれ何かを失っているのです。

「業平」は「薫」を、「八重未亡人」は再婚した夫を、「薫」は命を。

この喪失感が作品全体に仄暗い陰影を与えているように感じました。


 また庭の「梅の樹」、「梅の香」の線香、「梅花を象った愛らしい最中」とモチーフになっている「梅」もあちこちに散りばめられています。

喪失感を補完すような彩りを感じます。


 さて「薫」の実家を訪ねた「業平」は「八重未亡人」と「薫」との関係を想像、いえ、妄想するのですが、その内容もなかなか衝撃的です。

その中で、冒頭で薄い縁だと語られた「業平」と「薫」の本当の関係が明かされていきます。


 そうして最後に「業平」が受け取る「玉骨」とは?


 ぜひこの情感溢れる世界に触れてみてください。


*********************


深川夏眠様作

『玉骨』(ぎょっこつ)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893544818



★第1回自主企画 「ほのぼの系短編」の本棚にもご参加くださいました。

『跡形』

https://kakuyomu.jp/works/16816927860866581247/episodes/16817139558271580476

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る