『春夏秋冬は明日へ去る』
「女の子が目を覚まし」、「その時が彼女の始まりだった」。
そうお話しは始まります。
「花開く」「ワンピースの裾」、「石造りの床」。
「女の子」がいるのは「十六の窓が」ある「森の中の塔」。
窓の外は「風花」の舞う冬。
しかし、
「春よ、来い」
そう「彼女が愉快にさえずる」と「裸の枝に緑が芽吹く」のです。
塔の中にたくさんある「本」。
少女を訪ねてくる「一郎」。
「一郎」とともにする「掃除」と食事。
時間とともに季節は移ろい、移ろう季節とともに年齢を重ねる「少女」。
1日の終わりに「老女」となった少女が編み始める「ガウン」。
「月光だけが滲み入る」「今朝の光景によく似」た部屋。
「ベッドへ横たわり」「老女」が歌う「歌」。
そして「少女」の「姿が忽然として明日あすへと消え」るのを見守るのは「一郎」なのです。
全てがとても寓意的で意味深で不可思議です。
一度読んだだけでは物語りの全体も、描かれる世界も把握しきれず何回も読み直しました。
作者様が紹介文で言われているように、「二周」は読み返してみるのいいかもしれません。
作者様は静かに情緒あふれる世界を描き出します。
まさに物語を紡ぐといった表現力で、1日を1年のように、一生のように塔の中で生きる少女を描いておられます。
このお話しを読まれてあなたは、どんなことを受け取るのでしょうか?
ぜひ聞かせてもらいたいと思います。
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杜松の実様作
『春夏秋冬は明日へ去る』
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