第2回、自主企画「甘ーいスイーツ」の本棚

『スィートメモリー』

 この作品には『お題』の「甘いもの」がたくさん出てきます。

甘いスイーツを散りばめたほろ苦いエスプレッソのような味わいの作品です。


 登場人物は「ひで」と「美香みか」。

高校の同級生です。

甘いものが好きな「美香」。

甘いものは苦手な僕、「英」。


 二人は高校生の一時期付き合っていたと回想で示されます。

「高校最後の文化祭」、その準備中のある「特別暑い日」。

「冷たくて、とびきり甘い」アイスクリームとともに「僕の心は、佐々木美香に捕らえられてしまった」のです。 


 「あたしとつきあってください。」

そう「美香」に告白された夜「枕に顔を押し付けて、ベッドの上でバタバタした」「英」の気持ちの高ぶりは誰しも共感できるはず。

それは、甘い甘い恋の思い出。

そこに混じる一滴のほろ苦さ。

(この苦さはどこから来るのか。

ぜひご自分の目で確かめてみてください)


その二人が十年以上の時を隔てて空港で再会。

「美香」はみごとなほど「美香」のままです。

一方、「僕」こと「英」には意思の強さが加わっていました。

二人は束の間カフェスタンドで時を共有しますが…。

この再会は高校時代とは〈甘さ〉と〈苦さ〉のバランスが逆転していました。


 再会の後に描かれる一つのエピソード。

この小さな最後の段落が、読後感をとても軽く優しくしてくれています。

エスプレッソを飲んだ時、あとに残るあの馥郁とした香りのようです。


 追記)

個人的には最初に出てくる「母上」のキャラクターが気になります。


 今回の自主企画のために書き下ろしてくださいました。

ありがとうございます。


追記)

「母上」のスピンオフを書いていただけました!

とても嬉しいです!

パワフルな「母上」、ぜひ皆様もお楽しみください!

 ◇ ◇ ◇


緋雪様作

『スィートメモリー』

  僕には甘すぎた思い出

https://kakuyomu.jp/works/16817330648016057242


スピンオフになります。

とてもおススメ!

『帰る日の一コマ(スイートメモリー・スピンオフ)』

  母上

https://kakuyomu.jp/works/16817330648828152323/episodes/16817330648828680787


こちらは、美香さんのスピンオフです。

『母の遺言‐美香の事情(スイートメモリー・スピンオフ)』

https://kakuyomu.jp/works/16817330649331085222/episodes/16817330649332042271


こちらは、瞳さんのスピンオフです。

『瞳ーピレネーの城(スイートメモリー・スピンオフ)』

https://kakuyomu.jp/works/16817330649436456182/episodes/16817330649437095496

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