貴方が蝶じゃなくても、きっと私だけは蜜を与えていた
- ★★★ Excellent!!!
学校で一番イケメンな男子である隼斗の過去を知っていてなお、鶇美は彼に恋をしていた。美しい蝶にしか興味のないあなた達が彼を落とせると思うな、と言わんばかりのバチバチの牽制がとても小気味いい作品です。
また、一般的には毛虫は蛾の幼虫、芋虫は蝶々の幼虫だというイメージを持たれていますが、蝶に成長した隼斗はかつて「毛虫」だった。この子が成長したとしても所詮蛾にしかならないだろうと彼の価値を見出すことすらしなかった他人が、美しく成長するや否や手の平を返して持て囃し始めたことに鶇美は嫌気が差す。ここの描写が見事でした。
鶇美の愛情には独占欲が含まれていますが、それ以上に、隼斗が蝶に成長せず蛾にしかならなかったとしても、きっと鶇美だけは彼に蜜=愛を与え続けたのだろうと思わせる感情表現がとても好きです。