崩れゆく極北の自然、そして地球。手遅れにならないうちに…
今まさに現実の世界で起こっているシリアスなテーマを見事なバトルファンタジーで描いた作品。
その極北の世界の描写はお見事!
この世に生きる生物の中で人間だけが持つ醜い感情。それを野生に生きるもの達が抱いてしまったらどうなるのか?
私達人間は、自分達の愚かさを嘆くだけでは何も始まらない。
「突然授けられた特殊能力であっても、突然霊体になっても。その時々で、自分たちにできる精いっぱいの道が選択できればそれでいい。」
これは若干小学六年生の主人公、蒼仁の言葉。決して諦めない。
突然変わる作風に少し戸惑いながらも、不自然ではない癒しや笑いが作品に彩りを添えている。
現実の世界で、私達は彼らの勇気を少しでも繋いでいきたいと思わせる作品です。
カナダで「闇のオーロラ」が空を侵食し、極北から太陽が消えた。
次々に起きる超自然現象。人を襲う動物たち。それは今まで傷つけられてきた動物たちや自然の叫び声。起きた闇のオーロラは人間がしてきた罪の大きさを表しているのでしょう。
天変地異が起きた理由は人間にあるのだけど、それをまた正そうとするのも人間。人を、世界を守るために立ち上がったのは小学生の蒼仁。もちろん一人ではありません。他にも心強い仲間が沢山出てきます。
この作品を通して人間の所業の残酷さや暴慢さを改めて感じました。そしてその半面、人間の愛しさも再認識する。絶望に立ち向かい光を見出だし己の心に従って懸命に戦おうとする主人公と、彼と共に戦う仲間たちのアクションから笑いから感動の涙まで揃っている素敵な作品です。ぜひご一読を。