最終話 あつあつお鍋が出来ました♪

 付喪神のやかんは火加減の達人だったニャ。


『吾輩は具材の最高の状態で仕上げられるでプシュ』

「へえ〜、すごいね。やかん君」

「やかんの付喪神だからニャン。当たり前といえば当たり前ニャ……」

「虎吉ったら。素直に褒めてあげようね」

「ニャニャ。……凄いニャン、偉いニャンね。ところでもうすぐ出来上がりニャンか?」


 お鍋がグツグツ煮えて、すっごくいい匂いがしてきたのニャ。


『出来上がりましたぞ、プシュー』


 やかんの付喪神がそう告げた時、甚五郎の家で暮らすみんなが続々と帰って来たのニャン!


「「ただいま〜」」

「只今戻りました」

「兄にい、ただいまあ」

「お兄ちゃん、ただいま」

「ただいま。いい匂いがするな」


 甚五郎の家に住む人間は、甚五郎と甚五郎の孫三人と養女のサクラだニャン。

 居候の妖怪はオイラ妖怪猫又の虎吉と犬神の豆助に化け狸のポン太、妖怪さとりの琥珀と鬼族の酒吞童子ニャ。

 それからよく遊びに来る桜のあやかしの蔵さん。それとやかんの付喪神が食卓についたのニャ。


 どうニャ?

 大勢いるニャン?

 甚五郎の家にはいっぱい住んでいるし、妖怪や不思議なあやかしがやって来るのニャンよ。


「雪春とオイラが作った『情熱のヒーローファイヤー薔薇鍋』ニャン。召し上がれ」

「「いただきま〜す」」


 窓の外がちらと見えたら、大きな牡丹雪が降ってきてたのニャ。

 寒い寒い冬は体がと〜っても冷えるニャンねえ。


 みんながにこにこ笑顔でお鍋を食べて「美味しい、美味しい」「美味い」と舌鼓を打ってるニャンよ。

 オイラ嬉しくなって、心があったまってきたニャ。


 さあ、もっともっとあったかくて美味しいお鍋をたくさん食べて、みんなでパワーアップするニャンよ。

 冬の寒さに負けないようになるのニャ。

 北風も風邪も吹っ飛ばすニャンッ!


 ……オイラはフーフー冷ましてから食べることにするニャ。


 お鍋を食べたオイラが戦隊ヒーローみたいにちょっとは格好良くなってるか、後で鏡を見ようかニャ。


 家族と仲間、み〜んなでお鍋を囲んで団らんする夜――。オイラは最高に幸せな気持ちに包まれたのニャン。


   おしまいだニャン🐾

   またニャ〜!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

雪春と妖怪猫又虎吉クッキング! 天雪桃那花(あまゆきもなか) @MOMOMOCHIHARE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ