ゲームはただのゲームはならない
コンコン
「っ!?」
「………っ。いいところで……」
情熱的かつ、頭が真っ白になりそうな濃厚なキスをされていたが、たった数回のノック音はすぐに聞き取れた。
希華も聞こえていたようで、キスを止め唇を離した。ここでゆっくり深呼吸できる。息つく暇もない、キスだった……。
「だ、誰かな……」
「きっと、お姉ちゃんともう1人だよ」
「どっちも希華が呼んだの?」
「私が呼ぶはずないよ。せっかくスーくんの2人っきりだったのに……むぅ」
希華はむすっ、と頬を膨らみせ不機嫌そうながらもチェーンがかかったドアを開けにいった。
そして。
「2人とも、元気かしら。涼夜は干からびてないようね」
「お邪魔するね、涼夜。希華さん」
「お邪魔だったんだけど……」
部屋に入ってきたのは、乃寧と柚子だった。
「どうして……」
「どうしてって、ここは私の部屋でもあるからね」
「あっ、そっか」
希華と乃寧は同じ部屋……先ほどまでのキスの余韻が残り少し頭がぼー、としていたので忘れていた。
「柚子は?」
「わたしは……ねぇ」
柚子は何故か、視線だけ乃寧の方を見た。その乃寧はというと、
「誘ってないのに部屋きたわ」
はっきりとそう言った。
その様子を見て、柚子が笑う。
「ふふ、それじゃあまるで、わたしが邪魔しにきたみたいじゃないか」
「あら? そうじゃないのかしら?」
「わたしはただ、みんなで楽しく過ごしたいだけだよ」
にこっと笑う柚子を乃寧はやれやれといった笑みで見ていた。希華は……目を細め、何やら警戒するように柚子を見ていた。
「それで、早速提案があるんだけど」
柚子が一歩前に出て言う。
「提案?」
「親睦を深めるためにも……みんなでゲームでもしない?」
「ゲーム?」
ゲーム……そりゃゲームは修学旅行での思い出の一部になるものだけど……親睦とは? 僕らはもう友達のはずなんだけど……。
「親睦なら私たち、深まってるもん……」
「幼馴染の君たちは、それは親睦が深いだろうね。わたしもぜひとも混ぜて欲しいな。みんなと仲良くなりたいんだ。もちろん……希華さんともだよ?」
「………む」
笑みを浮かべる柚子と乃寧の後ろで柚子を見る希華。先程から見るに、希華は柚子のことがちょっと苦手なのかな?
「親睦を深めるゲームって……僕は入ってる?」
「もちろん。しかし、この部屋でゲームするのは問題ないとして……涼夜以外のメンバーは全員女子……。しかも全員、涼夜のことが好きだと言っているのだから、涼夜からすればたとえゲームでも多少でも意識して、やりにくいかな? ふふっ」
「すごい他人事みたいに楽しそうに話すじゃん」
「楽しいさ。だって涼夜のいろんな表情見れるんだから」
手を添え、イラズラな笑みを浮かべる柚子。そんな彼女だが、どこか憎めない。
「ゲームはなにをするのかしら?」
乃寧が聞く。
「王子様ゲームはまず無いかな。定番だけどね。わたしたちのメンバーだと、きっとえっちな展開になっちゃうから」
確かに、なりそう……。そしてえっちな展開になった時、僕は流されてしまうんだろうなぁ……。
「ということで、はい」
柚子が何か差し出した。
「これは……トランプ?」
「そう、トランプ。ここは安全にトランプゲームにしよう」
安全なのかな? まあ王様ゲームよりは純粋に楽しめるし、安全か。
翔吾がいてくれればもっと安全で楽しくできるんだけど……。いや、今からでもビンタして起こせば、連れてこれるかも。
「はいはい、涼夜。翔吾に助けを求めるのはダメだよ」
「うっ……はぁ、分かったよ」
僕の考えなどお見通しらしい。
「乃寧さんと希華もトランプゲームをやるってことで、いいよね」
「私はやるわ。トランプゲームは割と好きだもの」
「スーくんとお姉ちゃんがやるなら……私もトランプ、やる……」
ベッドをくっ付けてその上に4人で座る。
「さぁ、楽しいトランプゲームをやろうじゃないか」
柚子がにこっと笑い、シャッフルしたトランプを配り始めた。最初は定番のババ抜きらしい。
【あとがき】
10万字超すぐらいで終わらせたいと思ってます。更新頑張ります。
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美人な双子姉妹のののののの幼馴染じゃなくなったはずの僕は溺愛されすぎる 悠/陽波ゆうい @yuberu123
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