最終話【魚鱗の陣】
教室の真ん中最後方にすっぽり空間ができている。机だけは並んでいるが誰も座ってはいない。事前に頼んでいた通りだ。児童生徒の冷たい視線を浴びながら
後ろから2列目、ド真ん中。
「じゃあ雨穂ちゃん、そこに座って」
雨穂ちゃんがうなづきその席に座った。
「
前は当然なるべく邪魔にならない者で。小柄な銀髪クンが適役だろう。それに常時視界に入る者は少しでも信頼があった方が安心感があるだろうし。
「うん分かった」と銀髪クンは返事をして指定された席に座った。
どんどん行こう。
「雨穂ちゃんの左隣はライフルちゃん、右隣は敷島ちゃんで」
「分かりました」とライフルちゃんから。しかし美少女ちゃんからは「わたしが隣でいいんですか?」と訊かれてしまう。「うん、お願い」と頼む。それぞれが席に座った。
左右斜め前は人数の関係でしょうがない。
後は最後列。
「
「おっ、おう」
「左後ろは
強面が最後列から目を光らせていれば圧迫感ってものを感じるだろ。ちなみに僕は教室中を観察するためにここに座ったんだからね。
「するとわたくしの真後ろが
美少女ちゃんのその言い様に児童生徒達がざわつく。
お前らな、このヒト、手に何も持ってないから今は解らねーだろーけど、一番怖いぞ、たぶん。
「そうなるね」と美少女ちゃんに返答する。
これで布陣は完璧だ。
雨穂ちゃんを中心にその前方が銀髪クン、時計回りで右隣が美少女ちゃん、右斜め後ろが俺、真後ろが候補、左斜め後ろが僧兵、左隣がライフルちゃん。
俺は椅子を引き出し座る。
しかし座らない者が二名。
「ここ、ここ、早く座ってよ」隣の席を指定した候補を座るよう促す。しかし座らない。
「これが貴様の作戦か?」
「どうよ」
「よもや物理的遮断とは……」
「だろっ?」
雨穂ちゃんを大将に見立てそれを守るように周りをぐるりと囲む。これが
「これはさすがに何の解決策にもなっていないのではないか?」候補に代わり今度は僧兵が〝正論〟を口にした。言いたいことは皆まで言ってくれなくても解るよ。突っ込みどころもあり過ぎってことも。
だが俺の考えはそんな正論とは少し違う。
「まず〝守られている〟っていう感覚を感じてもらう。そこからじゃないのか?」
そう言うと候補も僧兵も黙って座ってくれた。
薄幸のお姫様を六人のイケメンが守る。ヤッパこういうのでしょ。
まあ自己満足かもしれないんで後で雨穂ちゃんに訊いてみる必要はあるけどな。
(了)
超イケメン、イケメン達を召還しイケメン戦隊のようなものを造ってしまう! 齋藤 龍彦 @TTT-SSS
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