蠱毒

オンピー

未成熟

いつものように起き、身支度をする。

いつものように慌てながら家を出る。

いつもの電車にのり職場へ向かう。

いつもの面々と他愛もない挨拶を交わし仕事をこなす。

いつものように電車に乗り家へ帰る。

家へ着くなりメイクを落とし寝巻きに着替える。

SNSを一通り目を通しまた眠りにつく。

変わらない毎日を過ごしていくうちに私は歳をとり大人への階段を1歩、また1歩と歩みを進めている。


法では20歳を超えれば大人とみなされ様々な事が許される。煙草やアルコール等。それらと同時に国から税として様々なものを搾り取られ続ける。時間やモチベーション等。

小さい頃の夢は会社の歯車として無難に生きる事だった。我ながら子供の癖に夢も希望もなかったと思う。だがいつからか平凡を望まなくなった。歯車として生きる事が嫌になっていた。私は唯一無二になろうとしていた。しかし唯一無二を目指せば目指すほどその他大勢の有象無象となんら変わらない歯車になっていた。

体だけ成長し、心だけが高校生や中学生のように取り残されてしまった。

自分ですら自分が分からない。気分の調整さえ自分で出来ず、未成熟のまま生きてきてしまった。自分が分からない人が他人を知ることなんて出来ず、人間関係さえも狂わしてしまう。挙句の果てには人間不信だ。

誰も信じれない。きっといざとなったら裏切るに決まっている。そんな事を思い始めると誰にも自分をさらけ出せない。家にいる時の自分、職場での自分、友人といる時の自分。そのどれもが自分であり自分では無い。まるで複数人の自分がいる様な感覚に陥り、必要以上に精神を摩耗していく。


自分はただ幸せになりたいだけなのに。


幸せってなんなんだろうか、自分は幸せになるに値する人間なのだろうか、自分は幸せでも周りはどうなのだろうか。そんな事毎日のように考えてしまい気づいたら人生という名の迷宮に迷い込んでしまった。

正解が1つでは無いが故に正しい事が分からない。人には人の幸せがあると言うが私にはあるのだろうか、もう何もかも投げ出し海に溶けてしまいたい。

そんな事で病んでいる自分がまた憎らしい。

これからもずっと私は私であり私ではない。


未成熟のまま死に行く私は幸せなのかな?

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蠱毒 オンピー @zuka-goukin

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