光武帝劉秀の、その興隆の切っ掛けを簡潔に切り出し、ひとつの物語として完成させている素晴らしい短編です。光武帝の前身やその後といった、前後の話も読みたくなりますが、これは野暮か蛇足になりますか。
後漢のある冬の日、降り積もる雪を皇宮から眺める、時の皇帝・劉秀。各地で勃発した新王朝への反乱をきっかけに、乱れた天下を統一した彼の、河北での契機を回想する。前漢から新王朝を経て後漢が成り立つまでの経緯を、劉秀の動きを中心に描いた中国歴史もの。日本史の重要な出来事も交えながら、非常に分かりやすく描かれています。混迷極める時代に、誰も彼もが天下を取りたいと躍起になっていたのでしょう。その中で、なぜ劉秀がそれを成し遂げられたのかの一端が、しっかりと伝わるお話でした。