責任所在の会話
@kurotobi_yusuke
責任所在の会話
「なに皿を割ってんだ。」
「私が割ったんじゃありません。床が割ったのです。」
「何を訳の分からんことを言ってるのだ。お前が今落としたじゃないか。」
「いえ、恐らく悪戯に重力が皿を下に引っ張ったのです。そして床は皿がその衝撃に耐えきれないと知っているかどうかは分かりませんが、砕きました。私は言うならばこの二者の悪巧みに巻き込まれた被害者なのです。」
「おいおい、やめてくれ。目眩がするよ。いったいお前はなんの話をしてるのだ。」
「責任の所在についての話です。」
「重力に引っ張られようが離したお前が悪いだろうが。早く謝れ。」
「私は自発的に落としたのではありません。私の健康状態にも現段階では問題ありません。皿を持つのに十分な指圧をかけれていたと思います。そして皿に滑りもありませんでした。と考えるならば、一種の強制された力によって私は皿を手放されることを強いられたのではないでしょうか?これは暴力のように私の行動を抑制したのです。つまり、仕方なしにです。それでも謝罪する必要があると思うのならば、その理由を教えて下さい。」
「自発的だとかそういうことを問題にしてるんじゃない。皿を持っていたお前にはそれを落としてはいけないという責任が伴っているんだ。屁理屈を並べていないですぐに謝ったら済む問題だろうが。」
「その責任が私にはないと申し上げているのです。先程の私の主張を理解しているのなら、私は暴力によって皿を手放すことを強いられた。つまり拳銃を突きつけられて財布を出したのと同じです。その人間になぜ財布を出したんだと一体誰が責めるのですか?今回私に暴力を行使したのは無機物でしょう。だからといって彼らの責任が私に転嫁されるという話は甚だおかしいと思うのです。」
「もういい、おれが悪かった。配膳に戻れ。」
「はい、失礼します。」
責任所在の会話 @kurotobi_yusuke
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