未来へ(後編)

龍は走っていた。美月の横に知らない男が手を繋いでいたから。そして近くにあった神社に着くと周りから見えない所に座った。

「だれだったんだ。美月の隣で美月と手繋いでたやつ。見たこない顔だった」

龍はずっと考えた。だがしかし何も分からないまま時間だけが過ぎていった。

『まあいいや。とりあえず家に帰ろう』

そう思って立ち上がり家に向かって歩き出そうとしたその時

「待って龍」

そう呼ばれた方を振り向くと美月が息を切らして立っていた

「どうしたの美月そんなに息を切らして」

「なんでって龍が帰ろうとしてるからだよ」

「別に帰っても良くない?ここに俺が留まってる理由もないし」

「私と一緒に回ってくれるって言ったじゃん!」

「美月さっき別の男の人と一緒に仲良くしてたよね手まで繋いで。別に俺じゃなくて、あの男の人と一緒に回ったらいいじゃん」

「さっきの男の人は」

「別に言い訳が聞きたい訳じゃないんだ。だけどあっちの男の人にも迷惑かかるから俺とは別れよう。だからこれからはただの友達ってことでじゃあね」

そう言うと龍は歩き始めた。少しすると後ろから美月が追いかけて来て

「私の話しも聞いてよ龍!」

あまりの声の大きさに龍はまたもや振り返る

「私の話しも聞かないで勝手に別れようなんて言わないで!さっきの男の人は私の従兄弟よ!6年ぶりぐらいにたまたまあって昔はこんなことしたねとかってふざけてやってただけだから別にあの人とそう言う関係じゃないの。だから私と別れないで!」

「そうだったの。ごめん勝手に勘違いして美月のことも聞かないで。勝手に」

「いいんだよ。おふざけであんな事してた私も悪いんだし」

『フュ〜バーン』

「あ花火、綺麗だね」

「そうだね」

そうして龍と美月は花火を見続けた。そして最後の1つがハートの形をした花火だった

「知ってる龍、最後のハートの花火を一緒にみたカップルは結ばれるんだって」

「知らなかったじゃあ僕達って」

「そういう事になるね」

「本当に結ばれるといいな」

「そうだね」

9年後

「パパ、ママ早く行かないと花火見れないよ〜」

「はいはい待ってよ」

「走ると危ないわよ」

『フュ〜バーン』

「パパ、ママ綺麗。花火綺麗!」

「そうね〜花火綺麗ね。そういえば9年前あなたとここで一緒に見たわね」

「そうだねその前にちょっとだけ喧嘩?みたいな感じになったけどね」

「パパ、ママその話、聞かせて聞かせて」

「はいはい9年前私たちが高校生の時、龍と」

「9年前俺達が高校生の時、美月と」

声を揃えて話し始めた。



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summerメモリー 兎紀 @ukisan

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