宇宙を航る航空母艦、航空母艦って一つの都市だけど一度飛び立つと帰港するまで閉じられた街になります。
そんな逃げ道のない艦の白童丸号、実は…出ます。
閉鎖環境で怪異と同居は航行に影響するということで、この艦には持衰を載せています。持衰とは魏志倭人伝にある船の安全を担う人身御供のこと。
このお話の主人公、艦の酒保に勤めるソフィア・ハートは艦に相応しくない贈り物を求めて訪れる客たちに持衰の話を聞き、持衰に会うべく行動を起こします。
閉じられた艦の中で、色々な角度から主人公を恐怖が襲います。閉じられたからこその恐怖、開かれた社会に起因する恐怖…
福祉のお仕事をされている作者さまだから書ける、恐怖倍増のホラー。
ぜひ読んで欲しいお話です。
持衰ってご存じでしょうか。
わたしは本作を読むまで知りませんでした。
古の風習のようなのですが、その持衰が宇宙を行く航宙母艦にもいるというのです。さらにただ航海の安全を願っているのではなくてですね。
この母艦、怪現象が起こるんです。宇宙とお化けのコラボなのです。
ですからこちらの持衰は怪現象を解決するお仕事がありまして、お礼は可愛らしいものと相場が決まっているようです。
さて。主人公のソフィアはある事情から、幽霊と会話したいと切望しています。
どうやったら会話できるのか、会えるのか。見たい、知りたい、お化けの気持ち。
そんなソフィアの過去と怪現象、そして持衰の姿は……。
人間ドラマも素晴らしく、悲哀も感じさせる素敵な作品です。
あ、あと、ほんのり恋の芽生えもありますよ!
航宙母艦「白童丸」の売店で勤務することになった女性・ソフィア。
いかつい軍人たちがソフィアが勤務する売店で買うのは、むくつけき男性には不似合いな、いかにも女性が好みそうな菓子ばかり。しかも、可愛くラッピングしてくれという注文付きで。
不思議に思いつつも、リクエストに応えていくうち、ソフィアは彼等から不思議な話を聞かされる。
いわく、この「白童丸」では、怪異事件が起こるのだと。
そして、ソフィアが可愛くラッピングした商品は、怪異を解決してくれた持衰へのお礼の品なのだと。
その話に興味を引かれ、怪異に遭遇しようと営倉に向かったソフィアが出会ったものは――?
航宙母艦「白童丸」を舞台に巻き起こる怪異と恋愛模様と謎と……。
と、とっても盛りだくさんなお話です!(≧▽≦)
SFらしいギミックも使われていて、読んでいて「おおお……っ!」となること間違いなしです!(*´▽`*)
ソフィアの心を捕らえているのは何なのか。
ぜひ読んで確かめてみてください!
って最初は思ってたんですよ。
だってホラーって、科学では解明出来ない不思議なアレがどうやらこうやら、みたいなイメージがあって。
だけどSFっていったら、やれ宇宙がどうたらとか、レーザービームがどうたらとかじゃないですか(個人のイメージです)。そんなものがバリバリに登場する世界観なら、もう霊とかその辺のも解明されちゃって、不思議な現象なんかにもみんなそれらしい名前なんかつけられちゃってんじゃないのかな、って。
ところがどっこい。
案外相性が良いみたいなんですよ。
ていうかね、宇宙空間で霊なんて出てご覧なさいよ。それによって機械にトラブルでもあってごらんなさいよ。ここ宇宙よ?何かあったらもうおしまいなのよ?
が、ご安心なされ、この艦には持衰がいるのです!ばばーん!
……持衰って何?
そう思った方もいるのではないでしょうか。大丈夫、私もです。何なら読み方だって知りませんでしたから。
あらすじですとか、それから1話を読んでいただけるとわかります。へぇ、そんな人がいたんだー、って。
いや、それはわかったけど、マジで?!そんな人がこの艦に?!
もう色々と衝撃的な本作、ホラーですけど、怖いのが大丈夫なのであれば「でもSFでしょう……?」なんて言わずに是非どうぞ!