ひまわり

久下なつめ

ひまわり

フィンセントファン・ゴッホと聞くと大概の人はひまわりを思い浮かべるのではないだろうか。

学生時代に美術の教科書や、近代絵画についてニュース、TV、ラジオ。

いろいろな媒体で少なくとも1度は見聞きしたことがあるだろう。

絵画なんて全く興味ありません。っていう人だってゴッホの名前は知っている人も多いはずだ。


私は絵画ををみるのが好きで、その日も美術館へ出かけ開催中だった展覧会をみた。

一通り見終え、興奮と余韻でホクホクしたままショップへ行こうとした、最後のフロア。

突然それは現れた。

ゴッホのひまわりだった。その美術館は日本で唯一ひまわりを所蔵している美術館だったのだ。

目を奪われた。この世にこんな黄色があるのかと。見たこともないほどの鮮やかさだった。

はたと横を見ると同じように目を奪われている男の人。

向こうもこちらに気づき「きれいですね」と声をかけてきた。

「そうですね。素敵ですね。」って。

それをきっかけに私と彼は一緒にショップを見て回り、近くのカフェでお茶をすることになった。

今日の展覧会の話、今までみてきた展覧会の話。大いに盛り上り、このまま別れてしまうのは勿体ない気がして連絡先も交換した。

夢のような濃い一日。

そう。ほんとに夢のよう。

私は彼のことを知っていた。

今日出会うよりもずっと前から。

私はどちらかというと絵画をみる彼が好きだった。

その日も美術館へ出かけ開催中だった展覧会をみる彼をみていた。

偶然装って話しかけられたらいいなと思っていた。彼から話しかけられたのはうれしい誤算。

私はずうっとあなただけを見つめていたんだよ。

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ひまわり 久下なつめ @hanamigawa

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