ミルカ姫の冒険

第1話

地球から少し離れた小さいけれど豊かな星。それがあたし。ミルカ姫の住む、キラキラ星。

あたしは星に、教育係の執事、コルト大臣と数人の召使いさんとひっそりと暮らしていたの。食べたいモノも着るものも、何不自由無い生活。

だけど…いつも心は何故か満たされなくて、寂しくて。ひとりぼっちだなぁって思っていたの。

「ミルカ姫さまっ！またお勉強をサボられて！」

コルト大臣が文句を言ってきた。むぅ。何よぅ。

「だってぇ。お勉強ばっかり、あたし飽きちゃったわ」

ペタンと床に座り込むと、コルト大臣が困っているのが分かった。

「そうですな…ミルカ姫さまはまだ８歳ですからな。この星には他には誰もおりません。…ミルカ姫さま。私と旅に出ませんか？」

「旅に？」

キョトンとしたあたしにコルト大臣は優しく笑って、

「ええ。ミルカ姫さまの双子の妹姫さまのお話しは以前致しましたよね？」

言った。あたしはこくんと頷いた。ミルク姫。あたしの双子の妹は、生まれて直ぐに誰かに拐われたんだって。

「旅に出れば、お友達も出来るかもしれませんぞ。…それに…」

…？

コルト大臣、今お腹に手をやったわ。

「どうかしたの？痛いの？」

「いえいえ。何でもありませんぞ。では私は準備して参りますぞ」

コルト大臣は笑って、出て行ったんだ。