第27話 北の大地

先程関所を通り抜けた。

何日間かリラックスするつもりだったが、何故か疲れが残っている気がするのは気のせいだろうか。


大陸北側は元々帝国とは違う国だったが、今は帝国が事実支配している。


とは言っても昔からそれ程仲悪くは無かった筈だが、ここ最近になって一部の勢力により独立の動きが出ていて、そのせいか治安の悪い場所が出現している。


私は内戦のごちゃごちゃに首を突っ込むつもりは無いが、それでもかかってくる奴らには容赦はしない。


何かの要塞の跡地の様な場所を通り過ぎようとした時だった。


山賊「よう!お前いい女連れ歩いてるな。置いていけ。命だけは助けてやる。」

「但し通行料を支払うか、狼の餌になるか選べ…⁉︎」


話が終わる前に山賊の首が飛ぶ。切れた断面から血が噴水の様に舞い上がる。

フィニッシュ(決定打)が入ると世界がスローモーションになるのだが、正に今がそうだった。



流石に切れ味抜群だな。今手にしたのは刀タイプの武器[切丸(セツマル)]だ。

一般的な刀より刀身の厚みがあり、やわな感じはしない。攻速と切断のエンチャントを施したものだ。


山賊「野郎ども敵だ!見張り番がやられた!」

「女だ!女は捕らえろ!男は殺せ!」

もっと騒いで集めろ。そちらがやり易い。


山賊本拠地の広場にて戦闘が始まる。

山賊達が一斉に襲ってくる。

最初の攻撃を右から左前にかわす。上段の構えから少し前に足を運びながら振り下ろして斜め切り。

その次に足運びと共に刀を横向きにし左脇腹を横切り。

3番目は上段に構え直し兜割り。

その次は刀を相手の右首に接地する様に撫で切り。

左突き、右突き、真っ向切り。


それはほんの僅か数秒当たりで起きた事だった。

山賊だった躯の頭がゆっくりと体から離れていく。

中には何か起きたのかさえ把握し切れず瞬きする者さえあった。


中段の構えでフィニッシュを終えた私。一気に時間が動き出す。

「「「うげっ!あ!お⁉︎ ‼︎ ップ⁉︎」」」


切れ去った後に崩れてゆく元山賊達。

血の霧と呼ぶべきだろうか。

セレナが見ていたら喜びで狂乱する所だろう。


切丸を振る祓い血を落とすつもりだったが、付いてない。流石私が作った刀だけの事はある。


「ぎゃあああ!」

何箇所から火柱と電撃の花火が散る。逃げようとした山賊の残りを片付けた様だ。


私「お疲れ様。傭兵ギルドに出せれる証拠品以外は集めて灰にしてしまってね。」

パルガ、マヤ「「ハーイ!」」



私「終わったら今日はここで過ごそう。メシの用意だな。」

この世界に来てもらった精神耐性スキル様々だな。心が妙に落ち着く。



偶には星空を眺めながら寝るのも良いな。もう少し考えを整理してから横になろう。

明日は目的地に着きそうだ。


いつもならセレナの封印を解く流れから始まるのだが今回はどうなるんだろう。

時間の軸もずれてるし、ましてやセレナがこの世界に存在するかさえ怪しいからな。


今にでも目の前に浮かびそうだ。

そうそう、ああいうふうに長い黒髪が印象的な美しい女性だった。



………………………………

あれ?



私「セレナ?」

セレナ「遅いわよ!このバカ!」

パシッ!


……………………………

あ、この手ごたえ。お嬢さんの様な喋り方は間違いなく!


私は2番目に差し迫る彼女の左ビンタを右手で彼女の手首を掴んで止めた。

そして左手でセレナの腰を引き、すかさず彼女の唇に熱いキスを。

「ップ!ッン、ン!、、、ウッフ、ハァ…」


セレナのうっとりする顔が愛おしい。

私の背中を叩いてた手もやっと抵抗を諦めた様だ。


「セレナ、やっと会えた。

愛してる!今までもこれからもずっと愛してる。と言うか初めましてかな?」


「はぁ?バカ言わないでよ。あなたがいなくなって500年も待たされたんだから!」


「ええええ⁉︎な、なんだってぇ⁉︎」





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