第26話 再び北へ

パルガは早朝になって帰って来た。


私「どうだった?」

パルガ「…マルカス様は無事お帰りになられました。」

私「そうか、お疲れ様。」


その後、パルガは私のベッドに潜り込んで来たので、そのまま一緒に二度寝した。



昼になって宿を後にし、二人を連れてランチを食べに行く。

王都でも有名なバーベキューの店だ。ブリスキットやビーフリブ、プルドポーク、パンと野菜、ピクルス、マッシュポテト、スープ、蜂蜜酒が並ぶ。


バーベキューは肉汁豊富で柔らかく、各部位の旨さがよく味わえる。

王都にもバーベキューレストランが流行ってるんだなと思った。


ソースの味付けが甘味とほのかな酸味、スパイスがバランス良く、肉との相性が良い。


ジャスミンの村で食べたワイルドな味付けも良かったが、こちらも美味しい。

この世界に来て、別に日本食が恋しくないわけではないが、体が変わったせいか今のままの食事に違和感が無い。


まあ、生産施設が整ったら赤味噌は開発してみようかな。

あれをベースにした揚げ物用のソースは確かに代わりの物がないからな。


勿論、味噌汁にしてもキレが有って油の多い食事にはよく合うだろうなと思う。


日本食ではないが、マヨネーズなんかは新鮮な卵さえ確保出来れば割と簡単だし作ってみるか。


私「二人とも食事は口に合うか?」

さっきから無言でもぐもぐ食べてる二人。

パルガ「時間を掛ければこんなに柔らかくなるのですね。驚きました。」

パルガは今朝から機嫌が良い。


私「直火ではなく遠赤外線と言う波長を利用した調理法だ。炭なんかは手を近づけると直接火に当たってるわけでも無いのに凄く熱くなるだろう?あれが遠赤外線なんだ。」


マヤ「ご主人様、お代わりしたい。」


いかんいかん、年寄りの様に説明に走ってしまった。反省。

マヤはこういう時はハムスターみたいな顔してるな。可愛い。



私「こちらに先程頼んだのと同じ量の肉を追加してください。」

従業員「はーい!かしこまりました!」


しっかり食べて持ち帰りの分も注文したので、店を出てから人通りの少ない場所でインベントリに保管した。


そのあと適当に商店街を見て回っては頃合いを見て、王都の城門が閉まる前に北側の方から外に出た。


もうすぐ日没である。

少し移動すれば森の中に入るので、そこで日が暗くなったらドラゴン娘達のポリモーフを解除して一気に北に向かう。


温泉リゾート地から北砦までそれ程遠く無いのでそちらを目指そう。


私「リコ、ドラゴン成体を光学迷彩状態にする事は可能か?」

リコ「ドラゴンの成体となると別途のジェネレーターと光を歪曲する装置がない場合は難しいです。

自分単体でステルス領域に収められるのは数人くらいが限界です。」

私「なるほど、予想通りだな。」


私『ポリモーフ解除』

ドラゴン娘達が元の姿に戻る。

そこで幻想魔法の透明化を言霊魔法で強化した注文。

『透明化』


ドラゴン2頭が闇に溶けてゆく。

パルガの上に乗って、飛行を開始した。


リコから撮影してる映像をリアルタイムで転送してもらった。

やっべー本物のドラゴンライダーじゃねか。

カッコいいな。興奮するわ!


上空に達すると、そこは太陽がまだ地上に沈む直前の空模様。


夕陽を浴びながら、サイラスを装着した姿でドラゴンの上に立っているその光景は正にファンタジーそのものだった!



暫く空の旅を楽しんだら、数時間で温泉リゾートの上空に着いた。

真っ暗な地上からあそこだけは明るいんだな。


近くの森に着陸してリゾート地を目指す。遅いから入り口を通れるか心配になって来た。

まあ、ダメなら野宿だわな。


うん?待って。正面の入り口が騒がしいぞう。リゾート地の関係者らしき者達が集まっているのが見えた。


「あ、お館様が見えました!」


お館様?誰か来てんの?なんかの歓迎式?


「「「お館様。お帰りなさいませー!」」」

え⁉︎…私?


ソルム「お館様様。初めてお目にかかります。今まで当施設の総支配人を務めさせて頂きました、ソルムと申します。」

私「あ、初めまして。よろしくお願いします。」


ソルム「お館様。お言葉が勿体のうございます。どうか私目に御命令下さいませ。」


私「お館様って、私の事?」

ソルム「勿論でございます。お館様以外に誰がここの主人になりましょう。我が神シトリー様からのお告げにより、お館様をお迎えする様になりました。」


なるほど、シトリーの奴やりやがったな。

シトリー『ダーリン、お帰りなさい〜。シトリー寂しかったわ〜。』


出た。エロ神。

シトリー『もう!ダーリンったら〜、あんなに激しかったのに酷いわ〜』


私「事情はよくわかった。私は数日後は北に旅立つから、今まで通りソルム。あなたに管理は任せるよ。」


ソルム「有難き御言葉。お館様の留守中もこのソルム、しっかりと務めさせて頂きます。ではお屋敷にご案内致します。」


それて、いきなり温泉リゾート地のオーナーとなってしまった。

これは石鹸とアカスリ開発のプラグが立ったな。


それとフルーツ牛乳か…


○ルマエ○マエかよ!


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