第25話 親友との再会?(3)

意外と王都でのイベントはトントン拍子で進み、明日は再び北へ向かって出発する事になった。


やれやれ、なんだか疲れた。ついでにもう一度温泉リゾート地に寄ってから行こうかな。


「コンコン...」

うん?ドアからノックの音がした。

誰だろ?パルガやマヤは出かけて間もないから違うわな。


私「誰ですか?」

???「ヤガミ。私だよ、マルカスだ。」


急いでドアを開ける。


私「帝国の星のお目にかかります。」

マルカス「ヤガミ!いいんだ、いいんだ、そんなのは!

私はただ命の恩人に挨拶しに来ただけなんだ。楽にしゃべってくれ、じゃないと私がやりづらいんだよ。」


私「本当に?」

マルカス「あぁ本当だ。」


私「そうか。マルカス、怪我は大丈夫か?いつ王都に戻ったんだ?」


マルカス「昨日なんだ。君の接見日に合わせようとしたのだが、間に合わなかった。

君が明日には王都を離れると聞いたもんだから、父上にも内緒で会いに来たんだ。

改めて本当にありがとう。何度思い返してもあの時、君が居なかったら私は間違いなく死んでいた。」


私「いいって事よ。その場で私が助けたのも、君が生きられたのも全てそうなるべきであったと思うんだ。

これ以上、礼など言うのはやめてもらえないか。」


マルカス「そこまで言うならわかったよ。私も、もし君が困った時はいつでも力を貸そう。

これでお互い様だ。」


私「はっはっは!そう来なくちゃな!」

「あ、そうだ。この前もらった指輪なんだが。君のさぞ大切なものに違いないから、返そうと思うんだ。」


マルカス「いや、あれは私が君に友情の証として渡したつもりでもある。そのまま持っていて欲しい。」


私「そうか...わかった。ならば、私からも贈りたいものがある。」


私が取り出したのは帝国軍兵士達が使う片手剣に近い長さのソードだった。

鞘に収まった剣は両面に刃が付いてる事は同じだが、グリップが一般的な片手剣にしては少し長い。

それをマルカスに渡した。


マルカス「少し変わった形の剣だね?」


私「マルカス、帝国軍の片手剣術以外にグレートソードの使い方も心得ているだろう?」


マルカス「勿論だよ。大抵の武器は扱えるように訓練を受けてる。」


私「だと思ったよ。ではその剣を握ってマナを流して見ろ。出来るだろう?」


マルカス「出来るけど、私はソードマスターなんかじゃないから。

...ええっ⁉︎ ...こ、これは‼︎」


マルカスが握ったその剣から鋭い青いオーラが生成され、その長さは本来の刀身を合わせると2倍程に達していた。


私「今日から君も、オーラブレードの使いとなった。おめでとう!」

マルカス「意味がわからない!なんなんだこの剣は⁉︎」


私「なぁに、驚く事はない。私が作った剣の一つだ。

使用者のマナに反応して増幅させる機能が付いてる。」


「しかし、最初にマナを吹き込んだ人以外にはただの剣なのさ。

使ううちにマナの流れに慣れれば、いずれはその剣でなくてもオーラブレードが使えるようになるだろう。」


マルカス「そんな武器、聞いた事も見た事もない!」


私「剣の名前は[グラム]だ。

使ってやってくれ。私を助けてくれる時まで、君を守る保険みたいなもんさ。」


マルカス「こんな凄い物を!いいのか⁉︎」

私「オーラブレードを使ったんだろう?もう君の物だよ、それは。」


マルカス「アキラ…私は君に何度も助けられる事になるな。絶対忘れない!ありがとう!」


私は「だからまた元気な姿で会おうじゃないか。それが一番なのさ!」



そうしてるうちにドアの外から声が聞こえた。

「「失礼します。パルガとマヤ、只今戻りました。」」


私「おお!ちょうど良かった。

紹介しよう。こちらは私の親友マルカスだ。マルカス、こちらは私の同僚のパルガとマヤだ。」


パルガ「パルガと申します。」

マヤ「マヤです。」


マルカス「……………」


なんだ?マルカスのやつ、いきなり無口になってしまって。

パルガの顔をじっと見たままじじゃん。

ほほう、これはこれは。



私「おい、マルカス。」

マルカス「し、失礼致しました!マルカスと申します。以後お見知り置きを!じゃ...じゃあアキラ!私はこれで失礼する!」


急いでこの場から立ち去ろうとするマルカスの肩を掴み、静止させる私。



私「おおっと!待て待てい。ひとりで帰ると危ないから護衛を付ける。いいな?断るとは言わせないぞ。」

「パルガ、マルカスの帰路をサポートする様に。」


すぐさまパルガに思念を送る。

『もしマルカスが君を求めて来たら朝帰りで構わない。私の奴隷と言う事は明かすんじゃない。わかったな?』


パルガ「…わかりました。」


マルカス「いやいや!そんな悪いよ!」


私「先ほども言ったが拒否は拒否する。観念して、二人で行くんだな。良いな!」


そしてマルカスの耳に囁く

「戦場から帰って来て休憩も何もしてないだろう?今夜良かったら彼女誘って見ろ。な?」

マルカス「そんな!」

私「いいから行けよ。じゃあな!」


……………………………



パルガ「で、では行きましょうか。」

マルカス「ハ、ハイッ!ヨロシクオネガイシマス!」




二人とも頑張れよ!





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