4.登校中に......

 俺は今混乱こんらんしている。なぜなら朝玄関げんかんからでたら美少女女子高生が立っていたからだ。その女子高生は見慣れた顔だった。子供のころから一緒、幼なじみというやつだ。そして昨日、文化祭のフォークダンスを踊る約束をした相手でもあった。


まい......!待っててくれたのか?」

「まあ蒼汰そうたは嫌だった?」


 おどろいたような口ぶりで俺が言うと、舞は不安そうな顔で俺に問いかけてきた。


「いや全然!驚いただけ。でも急いでいかないと遅刻しちゃうぞ」

「そうだね。もうちょっと早くしてほしかったな~」

「だって待ってるなんて知らなかったし......」


 朝からラブコメ展開をむかえている主人公(俺)。玄関をでたら美少女が待ってくれていて、一緒に登校するっていう王道展開おうどうてんかい。正直朝から最高の気分だ。

(でも舞が待ってるって知ってたら遅れなかったんだけどな......)


「ん?なんか言った?」

「いやいや......なんでもない......よ......」


 心の声がれてしまっていたか!?俺は舞の言葉におもいっきり動揺どうようしてしまった。


「とりあえず急がないと......!」

「そうだね急ごう蒼汰」


 通っている学校はさほど遠くない。そのため俺たち2人は徒歩で登校できている。

 登校途中とちゅうに近所のおじいさんから、”朝から彼女をつれてるのかい”と冷やかしを受けたが......気にしてられない。おじいさんに苦笑くしょうし、かなり急いで学校まで歩いた。


「はあはあ......」

「何とか間に合ったぜ......」


 俺たちは遅刻せずに済んだ。ギリギリ2分前だ。


「蒼汰が遅いから危なかったじゃん!」

「ごめん。でもこんなに遅く登校するって体験も舞は初めてだろう?」


 俺が軽口を叩くと舞は俺の方をポコポコしてくる。痛くないし、めっちゃかわいんですが!?小動物的なかわいさを持ち合わせている幼なじみバンザイ!

 さらに俺が心の中でふざけているとチャイムが鳴った。

 キーンコーンカーンコーン。


「あ、予鈴よれいだ」

「早く教室行こうぜ」


 俺たちはそれぞれ、教室へと向かった。


「なあ蒼汰そうた

「何だよ......」


 午前中の授業が終わり、昼休みに入った頃。俺の1番仲の良い男友達である倉田優樹くらたゆうきがにやけながら話しかけてきた。


「どういうことだよ......!蒼汰!あの舞ちゃんなんかと一緒に登校してきて!」

「それは事情があってだな......」


 優樹は”お前リア充になったんか?”というゴミを見るような目でこちらを見ている。


「事情ってなんだよ!?」


 食い気味に俺に問いかけてくる。このまま黙っておくのも後々あとあと面倒だと思ったので、俺は優樹に昨日のファミレスのこと、文化祭でフォークダンスを踊る約束をしたこと、今日の朝のことの事情を話した。


「......大体事情は分かった。なんならそんな気がしてたよ」

「いつから気づいてた?」

「昨日お前がいそがしいっていったときから怪しいなって思ってたよ」


 なんだよ。これだからかんのいいガキは嫌いだ!ぼう天空の城に出てきそうなセリフを吐いた。


勿論もちろんこの話は他のやつには言わないでおいてやる。でもそこまでして付き合ってないのはなぞだけどな」

「これはありがとうと言えばいいのか......?やっぱり俺たちはたから見るとカップルみたいに見えるか?」

「ああ、当然。どこからどう見ても付き合って1週間くらいのリア充感が1番高いカップルだな」


 そんなことをするってことは、やっぱり俺に好感があるってことか......?

 でもただ単に天然てんねんでまったく意識してないという可能性もある。


「クソッ!お前なんかにどうして彼女が......」


 そのときクラス中がざわっとした。昨日俺がおそわれたラグビー部のやつは勿論、他の男子生徒たちが明らかにこちらをにらんできている。女子も一瞬いっしゅんこちらを向いたがすぐにグループでの話に戻っている。


「そーうーたーくーん......?」

「違うこれは誤解ごかいなんだ......まず話を聞いてくれ!」


 ラグビー部の男子生徒たちに弁明べんめいを求めるが流石日頃ひごろから部活でラグビーをやってるだけある。物凄ものすごい勢いでこちらへとタックルをかましてきた。1秒後には床に倒れており尋問じんもんが始まっていた。


「待て待て。何をするつもりだ!?」

「蒼汰君が苦しまないようにあの世へと送るためにね......」

「苦しまないって事ならもうこの状況じょうきょうですでに苦しいんですが!?」


 俺は昼休みが終わるまでこいつらに尋問(拷問ごうもん)をさせられるのかと思っていた。

 しかし状況は一変いっぺんした。教室の後ろのドアがガラッと開き、誰かがこちらへと向かってきている。


「ちょっとまたあなたたち蒼汰にそんな事してるの!」

「でも蒼汰君がまいさんと付き合っているなんてうそを......」

「本当だよ。」

「え」

「え」

「え」


 ラグビー部の男子生徒、俺、そして捏造ねつぞうしてきた優樹ゆうきまでもが固まった。


「いや......そんなはずが......」

「聞こえなかった?だから付き合ってるの私たち」


 平然へいぜんとした顔の舞はそうラグビー部の男子生徒たちに言い放つと、泣き叫びながら逃げていった。(2日連続)


「大丈夫蒼汰?」

「ああ、おかげさまでな」


 差し伸べられた手をぎゅっとにぎり立ち上がる。優樹は俺のそばでまだ驚いている。正直写真をっておきたいくらいだ。


「舞には2回も助けられたな」

「困ってたら助けるのは当たり前でしょ?」


 しっかりしている幼なじみだ。幼なじみとしてほこりに思う。いや、違う。どうなんだろう。俺は今しかないと思い勇気を振りしぼって声をかけた。


「あのさ......!俺たちって付き合ってるのか......?」


 まいは数秒だまり込みこう言った。


「さっきは咄嗟とっさに嘘ついたけどさ......蒼汰そうたはどう思う?」

「俺は......舞のことが好きだ!」

「ふーん......気持ちはうれしいよ。でも、私と付き合うなら条件がある。今から1ヶ月間、誰にもまどわされずに私だけを好きでいてくれたら付き合ってあげる。」


 その条件はあまりにも簡単な内容だった。小学生のときから舞一筋ひとすじ。この俺が浮気うわきなんてあり得ない。


「わかった。その約束を守れたら俺と付き合ってくれ!」

「もちろん!我慢がまんできるかな~?」


 舞は少しだけ俺をからかうように言った。俺のそばにいたはずの優樹はいつの間にか教室からでていた。

 キーンコーンカーンコーン。昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


「じゃあ私戻るからね」

「ああ、ありがとうな!」


 かわいらしく手を振り去っていく舞の姿は天使のようだった。



【あとがき】

 どうもはなねこです。

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俺の幼なじみがかわいすぎる!~耐えられる気がしない!?~ はなねこ @Hana_Neko

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