3.帰宅後...

まいを自宅まで送った後、俺もすぐ帰宅した。

ガチャ。玄関のドアを開け一直線いっちょくせんに2階にある自分の部屋に向かった。


「ただいま」


誰もいない部屋でいつものようにつぶやいた。そして俺は疲労しきった身体をベッドに運んだ。


「今日の俺充実してたな」


今日俺と舞は文化祭でフォークダンスを踊ることを約束した。その事実を再確認し、今日1日の出来事できごとを思い出す。

(舞可愛かったな......)

頭に映し出される学校でのこと、ファミレスでのこと。

あれ?俺達恋人みたいなことしてない!?

そんな妄想にふけっているとスマホから通知音が鳴った。スマホを手に取りロックを解除してLI○Nを開く。


「今日はおごってくれてありがとね!ファミレスで言ったことなんだけど確認しておきたくて...」


画面には舞からのメッセージがあった。確認ってなんだ?もしかして俺たちの関係のことか!?期待をふくらませつつも俺はそのメッセージに返信した。


「全然大丈夫だよ。それより確認って?」

「私たちって文化祭で一緒に踊ることになったじゃん...」


説明が遅れたがうちの学校では文化祭の後夜祭で自由にペアになって踊れるという伝統行事がある。舞が誘ってきたのはそれのことだ。


「そうだな、それがどうかしたか?」


俺は素直すなおに返信した。


「ありがとっ!私の誘いを受けてくれて」

「こちらこそありがとう!」

「改めて言っておきたくて」


礼を言わなきゃいけないのはむしろ俺の方だ。事実俺は一緒に踊る相手なんていなかったし、この伝統行事を入学したときに聞いたときから滅びてしまえと思っていたしな!そんな俺の思いを変えてくれたのが舞だからな。感謝しないと。


「それじゃまた明日ね!」

「おう!また明日!」


舞とメッセージを終え、満腹感まんぷくかんひたりながらゴロゴロしているとノック音が鳴った。


「蒼汰~お風呂いいわよ」

「今いくー」


今日1日の嬉しさによりいつもより返事が明るくなっているのに気づいた母親がなんかあったの?と好奇心むき出しで聞いてくるが無視無視。

別に母のことは嫌いじゃない。でも思春期の男子はなぜか親と話すということに抵抗感ていこうかんがあるのだ。そんなことよりこんな細かな変化に気付く母親恐るべし......!

______________________________________

今日は色々あったな~。湯船につかりながらまたしても自分の世界に入り、妄想を膨らましていた俺はふとあることを疑問に思う。


「舞は俺の事どう思ってるんだ?」


今日の会話の中で少なくとも好意は感じられた。文化祭のフォークダンスに誘ってくれたし。俺と踊りたいって好きってことなのか?それともただ純粋に友達としての好意なのか。どちらにせよ気になったら止まらない性格の俺は明日真実を直接聞いてみると決意した。でもどうやって聞こうか......


「いつまで入ってるの~」

「今出るって!」


そんな母親の言葉で現実に引き戻された俺はすぐに湯船から出てお風呂場を後にした。人が真剣に考えてるときに......どうしてこう親が来るタイミングって悪いものだろう。いろんなことをふくめて。


部屋に戻り、明日の準備を済ませた俺はベッドに寝転がりいつ寝てもいいような状態で、寝る前の日課になっているTwitterでのアニメなどの情報収集を行っていた。時刻は22:12。高校生が寝るにしては早すぎる時間だ。

しかし、普段は何もしない俺がいきなり女子とファミレス(デート)をした結果、15分後には寝てしまっていた。


翌日。6:30に設定した目覚まし時計の音が部屋に鳴り響く。しかし俺(馬鹿)は起きない。


「何時まで寝てるの~朝よ~」

「......」


次の瞬間部屋の時計は7:40を指していた。


「おい......マジかよ......」


目をこすりながら時計を見た俺は驚愕していた。急がなければ遅刻だ。


「クソッ......!目覚ましの野郎仕事をしなかったな!」


俺がそんな理不尽りふじんなことを目覚ましに向かって言いながらこの部屋の主は着替えをしている。勿論もちろん目覚ましは仕事をしていたが俺は知る由もなかった。

着替えが終わり1階に向かうとテーブルには朝食が広がっていた。


「おはよ~」

「おはよ」


2人の挨拶あいさつが聞こえた。最初に言ったのがいつもタイミングの悪い母だ。

後に言ったのが近所でも美少女と評判の我が妹「二階堂美菜にかいどうみな」だ。それに加えて学業の方も優秀、芸術部員としては市のコンクールで入選するほどの実力だ。まるで2次元のような妹を持っている兄としては嬉しい反面、比べられて悲しいということもある。それが現実だ。


「おはよう」


俺は寝起き声でつぶやいた。俺が席に座り朝食を食べ始めると正面で食べていた美菜が食べ終わった。


「ごちそうさま。ママ、じゃあ私もう学校行くね」

「あらもう行くの~気を付けてね」

「いってらっしゃい」


これがいつもの図だ。決して寝坊をしなくても美菜みなは一番最初に家を出る。


「お兄ちゃんも気を付けてね」


朝から呼びは正直兄妹といえどえる。でもシスコンではないということはここで明言めいげんさせてもらう!

急いで朝食を食べ終え支度をし、玄関へ向かう。正直昨日の夜ある程度準備してなきゃ遅刻してた......ありがとう昨日の俺。


「行ってきます」

「いってらっしゃい~気を付けてね」


母に見送られながら玄関を出る。ガチャ。


「......」

「おはよっ!ギリギリだね蒼汰そうた


【あとがき】

まず、読んで下さりありがとうございました!

随分と期間が空いてしまって申し訳ございません。

続きが気になった方はフォローして楽しみにしていただけると幸いです。

それと今回はルビを多めに振って読みやすくしてみました。

読みやすい!逆に読みずらい......などの感想待ってます!

今後も不定期になると思いますが、精一杯頑張るので応援よろしくお願いします。





















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