異世界ライフより家に帰りたい!〜雑魚転生者の俺は家に帰るため、最強スキルで魔王軍とやらをぶちのめす!〜

永藤 雄輝

第0話 Prologue【序章】

チュンチュン

鳥たちが鳴いている。


薄暗い部屋にはカーテンの隙間からは生暖かく黄色の光がゆったりさしていた。


部屋の中には漫画がずっしり入った本棚がずらりと並んでいて、アニメのフィギュアがいくつも飾られたショーケースが置いてある。


そして部屋の片隅を薄く照らしているテレビがある。

そこから無数のコードがそこらじゅうをツタのように這い回っていた。


カチカチカチカチ ピコピコピコピコ


「おらっ!ほれっ!あと1ステージ!」

テレビの前には青年がコントローラーを持って座っていた。

髪がボサボサで、髭がところどころ生えかかっていて清潔には程遠い身なりをしていた。


カチカチカチカチ ピコピコピコピコ


『𝐆𝐚𝐦𝐞 𝐨𝐯𝐞𝐫』

テレビの画面には真っ黒な背景に白い字でゲームオーバーと映されていた。

「は?まじかよ!ラス1でそれはきついって!」

青年は蒼白な顔で画面を見つめていた。


青年はリモコンを置くと後ろに倒れる。

すると青年の目に光が刺す。

「眩しっ!…もう朝か。一睡も出来なかったな」

青年は目を擦ると起き上がる。


ジャァァァァァ、ジョリジョリ


青年はシャワーを浴び、髭を剃り、学生服を着た。


青年の制服は、紺色のブレザーの胸ポケットには鷹が羽を広げている校章が貼られていた。スラックスはグレーのチェック柄、ネクタイはブレザーに合わせた紺色、中は水色のシャツ。

至って平凡な制服だ。

青年が鏡を見る。

青年の顔は、中の中のモブ顔。

至って平凡な顔。


「お兄ちゃん!」

ポニーテールの女の子が話しかけてきた。

「うお!ビックリしたわ」

青年は驚いた顔を女の子に向ける。

「お兄ちゃんもうご飯出来てるよ」

美味しそうな匂いが部屋中に漂っていた。


「いただきます」

青年は手を合わせると、箸を持ち食を口に運んだ。

「うまい!」

青年は笑みを女の子に向ける。

「あっったりまえでしょ!私が作ったんだから!」

女の子はドヤ顔を青年に向ける。

「ご馳走様でした」

青年は食事を終えると皿を洗った。


青年は靴を履き、鏡を見て身なりを整える。

「行ってきます」

青年は笑みを女の子に向ける。

「行ってらっしゃい、お兄ちゃん」

女の子は笑みを返した。


青年がドアを開けると光が玄関を照らす。

青年は光に歩み進んだ。


チュンチュン

鳥のさえずりが聞こえる。


青年が目を覚ますとそこは薄暗い場所だった…










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