第7話アーサー視点5
私は落ち着かない気分でその日のパーティーに参加していた。
ソフィアの部屋がわからずにあの後手紙の意味を聞けずにいた。
肝心のルークやハンスもソフィアの部屋はわからないといい、探すのはパーティーの時でもいいだろうと中々探しに行かせてくれなかった。
やっとパーティーの時間が来て会場に行ったがどこにもソフィアの姿は見えなかった。
キョロキョロと落ち着きなく周りを見ていると目の合った令嬢達が次々に近づいてくる。
話を適当に聞いて相づちをうっている。
来て欲しい人は姿をあらわさないのに来て欲しくない人がどんどん寄ってきた。
煩わしくなり少しその場を離れる。
「ハンス、ソフィアは居たか?」
他の令嬢と楽しく話しているハンスに声をかけるとハンスは知らないと首を振った。
「別に他の人とも話して見ればいいだろ?ソフィア嬢だけが女じゃない」
「それ…本気で言っているのか?」
「すまん…」
ビリッとする空気に場が静まり返る。
「私もすまない…でもソフィアの事は本気なんだ」
私の顔を見つめるハンスは飽きられたように苦笑
「そうか、ならもう何も言わん…まぁ頑張れ」
「ありがとう!」
「てことであそこにいる令嬢に絡まれてるのがソフィア嬢じゃないか?」
そう指を指されて振り返る。
そこには少しだるそうにしているソフィアがいた!
顔を見るなり足が動く。
何か疲れた顔にもしかして昨日無理をさせ過ぎたのかと後悔が押し寄せた。
「ソフィア!」
声をかけると手前にいた令嬢が何か言うが構ってられない。
無視してソフィアの元に急いで向かう。
体は大丈夫かと聞くと慌てた様子で周りを気にしだした。
確かに人に聞かせる話ではない。
私はソフィアとテラスに出た、そこなら二人っきりで話せると思った。
ソフィアは何故か浮かない顔をしている。
まずは体の具合を聞くと問題無いと答えられ、ほっとするのもつかの間昨日は何もなかったと言う。
「それはあの手紙に書いてあった事か…」
そう聞けばそうだと頷いた。
その瞬間やはり昨日事は夢で無かったと確信すると顔がニヤけてしまった。
そんな顔を見られたくなく必死に隠すとなんだか雲行きが怪しくなる。
ソフィアの表情が曇ってきた。
どうもソフィアは私に恋人がいて、昨夜の出来事はなかったことにしたいようだった。
恋人などいないしソフィア以外の女性とそんな事になる気もない!
それにあんなにも悲しそうな顔をしながら諦める顔など見たくなった。
ソフィアの本音を聞きたくて壁へと追い詰める。
近づいて顔を覗きこめば昨夜の事が思い出された。
甘い声で自分を呼ぶソフィア…熱い瞳が自分を捕らえて離さない。
君を諦められない、ずっとずっと君を探していたんだ…
自分の気持ちを伝えるとソフィアは諦めたように少し背伸びをして応えてくれた。
柔らかい唇にキスをして決して離さないと抱きしめた。
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