第31話春

 もうすぐ、春が来る暖かくなり

花が咲き、気持ちのいい季節になるのに、春が来て欲しくなかった花が咲いて欲しくなかった、アキラといっしょに居られるカウントダウン


私はやっぱり悲しかったアキラと離れたくない別れが来るとわかれば

なおさら、アキラへの気持ちは大きくなった、あの握った手の感触、アキラの背中アキラの声私は。女友達はいない、だから相談したり愚痴を聞いてくれる相手はいない、ライトに愚痴を言うのは、違う気がしてい

ライトだってアキラがいなくなる事は悲しいはず

アキラはどう思ってるんだろう?

私は朝、下駄箱に行く薄暗い下駄箱で

上履きに履き替える、お気に入りの

ローファーを下駄箱にしまう

緑色の廊下を進み一つ目の角を右に曲がり、三つ目のクラスが私のクラス

隣はライトのクラスだ

正直勉強は得意じゃない授業中は他の事ばかり考えて授業は聞いてない

英語は特に苦手だアキラは成績はいつもトップクラスだ、モデルの仕事で休みが多いし、なのに、勉強が出来る

すごいなといつも思う、つくづく私なんかが、彼女でいいのかな?と

思うのだけど、アキラが私を大切にしてくれるのはよくわかる

行かないでって言ったらどうなるかな?

アキラを困らせるだけかな?

悲しくてしかたないそれが本音だ


ねえライト?どうしたらいい?って

心の中だけで聞く


「リカ?ほい、ポテト、、最近

元気ないな?リカ」


ライトは優しいなおさら悲しくなる


「うん、つい、アキラはいなくなっちゃうんだな?って考えちゃうんだ」


「そうだよな、あと2ヶ月もないもんな卒業まで」


「三人でいると、心強くて、楽しくて

幸せだったの」


学校の景色が少し、変わって見える

アキラが居なくなってしまうから



【ねぇ  アキラ、、

アキラが私をすごく大切にしてくれてる事知ってるのその気持ちに、もう

不安はないの

だけどどうして?私から離れるの?】



「アキラは帰ってくる訳だし

連絡はできるし、またアキラが帰ってきたら

元の生活に戻るよ!な?だから

俺達は残りの高校生活を満喫しようよ」


ライトが言った

ライトは私の光だ

いつも明るく前向きで


アキラみたいなしっかりとは違うけど

ライトの前向きな性格は私をいつも

元気にしてくれる


「アキラを笑顔で見送る

私アキラの彼女だもん

離れていても、大丈夫」


本当は寂しかった

アキラに側にいて欲しかった

だけど、それは言えない

アキラはもっともっと

高く飛べる、だから捕まえてていちゃ

いけないんだ

残りの時間をアキラとゆっくり過ごそう

ライトと3人でいつも通りに



授業中先生が夏目漱石の心を読み聞かせしてくれる

私はこの授業だけは真剣に聞いていた

普段本をあまり読まないけど

言葉だけで、こんなにも頭の中に情景が浮かび、私の気持ちは登場人物の

全ての立場になれる


とても好きな時間だった


お昼ライトが学食に誘ってくれた

アキラも来るよと


初めての事だ

学校で堂々と3人で過ごす

周りの反応は気にしない


「リカ?何食べる?」とライト


アキラが

「チャーハンおすすめだよ」と

私はライトに

「チャーハン」と言った


3人ともチャーハンだった


「3人で学食初めてだな?

周りを気にしないで、これからは

堂々と過ごそう」とライトが話した


アキラは微笑み、頷いた


周りはサワサワしている

だけど誰も何も言って来ない


アキラが

「あ、そうだ!今日金曜じゃん

リカ、夜時間平気?行きつけのバーの

マスターが、彼女連れて来いって

うるさくて、あ、マスターって言っても、マママスター!おねえだよ

今夜平気?」と


行きつけのバーか?

アキラはつくづくプライベートの行動が大人だな

「うんわかった!」


アキラは

「アパートから歩って行けるから

ライトと3人で行こう!」と


「うん」とライトも返事をした

周りはまだサワサワしている


だけど何を言われてるのかは

どうでもいい。


ライトの友達は普通に来る

気がつくと、ライトの友達や

アキラの友達が集まり

大きな固まりになった

女の子は私だけ

ふざけた話しばかりして

笑って

私はその輪に馴染んでいた

居心地がいい



放課後アパートに行った


アキラが

「バーだから制服じゃマズイから

私服に着替えてね」と

私の私服を用意してくれた

初めてアキラが買ってくれた服


3人並んで、気持ち良い風が少し吹く

河原を歩いた

雰囲気のある扉、大人な感じ

扉を開けると中は薄暗く、ジャズが流れていて暖かい光の照明


カウンターの中にはたくさんのお酒の瓶が並んでいた

私達はカウンターに座った

アキラが

「マスター来たーー」と気怠そうに言った


マスターはかなりのイケメンでマッチョだった

そのマスターが


「やだぁ、やっと来たん

アキラにライト

そして、こちらがリカ嬢ね?」と

私は

「こんばんは、初めてまして

リカです。」と言った

マスターは

私の顔を近くでじっと見たそして、私の目を覗き込んで


「なるほどねー」と言った


アキラは笑ってた


マスターは

「おねえの勘は鋭いのよ

リカは、アキラの話してた通りの子ね」


「ねえ、リカ?あんた女に嫌われるでしょ?」


私はポカンとした

マスターは

「何にも知らない瞳で、妖艶な雰囲気

男にはわからないのよ

女には分かるのよ、女の敵だって」


ライトも笑った


ライトは

「さすがマスター、その通り」と


マスターは続けて

「リカにハマったら抜け出せないわね沼よ」と


アキラは

「マスターリカお酒弱いから

弱いカクテルお願い」と


私の前に出されたカクテルは

宝石みたいに綺麗だった


マスターが

「私のオリジナル、リカをイメージして作ったのよ、飲んで?」と

私は初めてのカクテルにドキドキした

甘くて、だけどなんか少しピリッとする。少しアルコールが入ってるかな?


ライトが

「どれどれ、飲ませて」と一口飲んだ

そして

「うん、リカって感じ」と

アキラも飲んだ

アキラは笑いながら

「本当、リカの味って感じだよ

さすがマスター」と

私は


「私って味で例えたらこんな感じ?」と聞くと

2人は頷いた


甘くてピリっとしてるのか?

と考えていた。


「マスターが、リカは1番かビリか

どちらかで真ん中は無いわね」と


ライトが

「あーなんか分かるそれ」と

マスターは

「だけど、まだ自分はビリだと思ってるひな鳥みたいね?1番になれるのに!だから僻まれるのよ」と


私は

「はあ、。」と

そして

「で、正直

アキラとライトどっちが好きなの?」と

私は、ドキっとした

アキラが

「マスターいきなり突っ込む?」と


ライトは笑ってる


なんか2人はこのマスターにかなり

心を開いてるんだな?と思った


マスターが

「もしくは?

アキラとライトどっちが

リカを好きな気持ちが大きいのかしら?」と

アキラは

「それなー!気持ちを測れる天秤でもあればわかりやすいのに。測れないからな」と


マスターは

「もう、イケメン2人から

愛されちゃって羨ましいわ」と


私は何にも言えなかった


するとマスターが

「リカ?ココは思った事を言っていい場所なのよココで話した事は本音だけど、私の作るお酒が言わせるの

だ、か、ら!

何を言ってもそれは

カクテルの妖精のイタズラよ」と

言ってウィンクした。


私は少し酔ったせいもあり

なんだか、流暢なマスターの言葉に

まるで魔法にかけられみたいで


「アキラはどこにも行ってほしくない

私の側にいてほしいの

ライトは私を照らすお月様ライトの光が無いと何も見えない

アキラは高く飛ぶ鳥だから私は捕まえない高く飛ぶ姿が綺麗だから

ライトは遠くからも私を照らしてくれる私はその光に安心する

アキラは、、」

私は詩のようにスラスラ言葉が出て

止まった、


アキラと、ライトは普通の顔で

お酒を飲んでる


マスターが優しい声で

「アキラは?なあに?」と

私は涙が落ちた

マスターは、眉をかしげ頷いて

指で私の涙を拭いた

そしてまた

「アキラは?」と聞いた


私は

「アキラは、、、あ、アキラが、

何処かに行くなら叶う事なら

私もついて行きたいポケットに入って」と言った


自分でも何を言ってるんだーと

思ったけど、不思議とマスターは

私の心の奥の声をひっぱりだす

私は続けた

「アキラが何処かへ行くなら私も行く、

ライトも連れてそうなればいいのに」と私は話した


マスターは何だか満足そうな顔をして

「困った子達ね」と言った


そして、急に

「リカ、歌いなさいよ」と

「リカの歌いたい歌を歌いなさいよ」と

私はドリカムの、【すき】を歌った


最近よく口ずさむ歌だった。

アキラとライトの前でちゃんと歌うのは初めてだった。

ライトとカラオケに行った時はなんとなくみんなで歌っていたから


1人で気持ちを込めて歌った


マスターが

「リカ!?あんた歌上手いのね?

もっと歌えばいいのに」


オレはリカがちゃんと歌ってる所を見て驚いた料理を作りながらよく

歌っていて、上手いなと思っていたけどこんなにうまかったのか?

オレはアキラの方を見た!

アキラも口パクで俺に

「うますぎ!」と


マスターは

「ほら、やっぱり1番があったじゃない?」と

そして

「ねえ、リカたまにウチの店で歌わない?バイト代だすから」

私は歌は好きだけど、人前で歌うなんてと思った

マスターは

「ほら、ボヤボヤしてるとまたビリに戻るのよ?飛び込みなさいよ!

リカも好きこそ物の上手なれ!よ」


ライトが

「リカやってみたら?リカらしい事

リカの好きな事ならやるべきだよ

きっと楽しい時間を過ごせるはず」


アキラは

「リカは趣味もないもんなだけど

よく歌は歌うよな?好きなんだろ?

声をかけてもらえた時がチャンスだよ

自分が変わる」


私は変われるかもしれないと

思った


オレはリカが没頭出来る事ができたら

薬が減るんじゃないかと思った

この時はそう、リカの薬が減ればいいと思っただけだったんだ


アキラは

「オレが居ない間リカが何か没頭出来る物があったら嬉しいよ」と


私はなんだかウキウキしてきて


マスターに

「私でよかったら、歌います」と

言った


マスターは、微笑んで

「心配しないで、リカに悪い虫が付かない様に、私がしっかりみてるわ」と

アキラが

「マスターが付いてたら安心だ」と

マスターは

「時間がある時に来てくれて

歌ってくれたらいいから」と


リカは

「わかりました宜しくお願いします」と

そしてリカはトイレに行った


アキラがマスターに

「マスターありがとう」と言った


マスターは

「きっと歌っていたらあの子元気になるわよ、人に上手いって褒められて自信がついたらなおさらきっとあの子は大丈夫」と


マスターは面倒見がいい

オレ達も散々面倒みてもらった

マスターならリカを変えれるかも


トイレから出てきたリカに

マスターは、

「簡単なドレスみたいな物をを着て

そして、スローペースのしっとりした

歌を歌って、お客さまが聞き惚れちゃう様に、甘くね」と

アキラが

「旅行で着たワンピースがいいよ」と

そして

早速来週の金曜日歌いに来る様に言われた

アキラとライトも飲みに来るよ!と

言ってくれた

なんだか、新しいページをめくったみたいだった


人前で歌う、自分の殻が破れる様な気がした前に進んでるそう感じた


アキラとライトのおかげだって事はわかってる

だけど、良い意味で裏切りたかった

何を頑張ればいいのかまだわからない

けど、マスターに貢献できた一歩

前進かな?と


マスターが

「リカ?約束してほしい事が一つあるわ」と

私が

「はい?なんですか?」と聞くと

真っ直ぐな目で私を見て


「自傷しない事!と言った

そして

「リカの手を見てすぐわかったわよ

リカのストレス発散の仕方が、私もそうだったからよく分かるわ

だけど、私は自傷じゃ終わらなかった全て終わらせようとしたのよ

母親に助けれたわ

母が、私にありのままの貴方で良いのよって言ってくれたのよ

私は隠してたつもりだったけど

女の勘はすごいのよね?母は尚更強いわよ」


私はサラッと自分の過去を話してくれたマスターの、器の大きさを感じた


私は自分の手のキズを触りながら

「わかりましたストレスは歌で発散します」と話した

マスターは微笑んだ


アキラとライトも微笑んで

私は大きく深呼吸した身体に酸素が巡る感覚がした。

大丈夫!そう感じた




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死ぬほど好きって言って 雪見 白雪 @ukimi2115

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