結局ワイはエクスカリバーなんや!!
- ★★★ Excellent!!!
ウェールズ神話に登場するアリアンロッドと、(何故か)関西弁の聖剣さんのお話。話の軸を例えるならば、『3びきのかわいいオオカミ』のようなスタイルです。伝説群依拠型ではなく、それを応用したタイプのストーリー。
アーサー王にまつわる話は非常に多く、聖剣のくだりに関してもバリエーション豊富です。作中でも触れられていますが、「岩に刺さっていたものを抜いた」説や、「湖の乙女から授けられた」説など、いくつかの伝承パターンが存在します。そこで気になるのが、その聖剣は何であるかということ。15世紀のトマス・マロリーは、岩に刺さっていた剣も、乙女から授けられた剣も、どちらもエクスカリバーとしていますが、彼はボールス・ド・ガニスをランスロットの「甥」と書いたり「従兄弟」と書いたり、数秒前に死んだはずのライオネルを生き返らせたりなど、細かい部分で整合性の取れていない書き方をしていますので、これもおそらく誤りであると思われます。また他の話では、エクスカリバーはガウェインが持っているだとか(何故??)、岩に刺さっているのがカリバーンで、その後に貰ったのがエクスカリバーだとか、とにかく色々なパターンがあります。
それでは、今回の場合はどうかと言うと、作中のキーパーソンがアリアンロッドであることが関係しているのではないかと思います。彼女はウェールズ系の女神なので、聖剣さんも「カレトヴルッフ」を由来とするから、エクスカリバーなのだと考えました(この考察、当たっているかどうかは知りません!)。
余談ですが、この作品の後半部分、生意気な少年(おそらくアーサーくん)が湖に剣を放り込みます。自分で剣を還せて良かったね、少年!