第9話 再生

「拓也ー!元気になったのか?」


親友もできた。僕は一度死んでいる。一度死んだ人間に怖いものはない。

「おう!ありがとう!」

母親も仕事を変えて、少し僕との時間ができた。僕はもっともっと勉強した。


「拓也の夢は?」

よく聞かれるが恥ずかしくて言えなかった。


大学を卒業し僕は白衣を着て自転車で田舎道を急いだ。

「先生ー!こっちです!」

民生委員の滝さんの姿だ。

「また診てほしい人がいます」


過疎化が進み、高齢者の一人暮らしは増加の一途だ。少しでも長く自分の住み慣れた家で過ごしたいと希望している高齢者は多い。家族との思い出も深いし、忘れたくない大切な時間。

僕はそんな夢を叶えるため、ニカーっと笑い、今日も自転車を走らせている。






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