第2話 崖から落ちたら死体の山のおかげで助かりました

崖から落ちていた時、すぐに死にますようにと祈っていた。


「また人間どもがゴミを落としに来たのか」


私は何かに埋もれると体に衝撃を受けて目を開けた。体全身を確認するとなくなっている部分がないことを確認して起き上がる。何が衝撃を受けとめてくれたのか確認したら、ぬるっとしたものが手に触れた。


酸っぱい匂いがする。背筋がぞわぞわして、体温が下がる。今私は死体の上にいる。滑り台から降りるように下まで降りると、この場所がどんな場所か確認するために周囲に気を付けて歩くことにした。先ほどいた場所には四つん這いの餓鬼のようなものが集まって匂いを嗅いでいる。


このままでは捕まってしまう。食い殺されると思ったので必死に逃げて何処か安全な場所を探した。どこにも安全な場所なんてなかった。

(もういっそうのこと見つかってしまった方が楽に思えてきたが、時間をかけてじっくりコトコト殺される可能性の方が高い。モグモグ)


食べるものがないので人型の魔物たちが食べ物を貯めこんでいるような場所にこっそり入り食事をちょろまかして食べることに成功した。着ていたシャツを脱いで袋にして詰め込んで、しばらく何処かに潜まないといけないので匂いがするものは避けていた。どこかに出口がないのか探す日々が始まった。


出口何てどこにもなかった。

崖をのぼるにも上空には黒いハゲタカがいて登ることが出来ない。息をひそめているときに一人の老人が現われた。白い長いひげに白髪の赤い目の筋肉の鎧を着ている人だった。監視をしているのか指で何か指示を出している。


道を進むと人の気配がしたので洞窟の中に入り歩いていく。檻が見えたので近くに行くと人の姿が見えた。もしかして人間かもしれないと思って近づくと死んでいるのか生きているのかわからない人間。もしかしたら明日は自分がこうなるかもしれない。いざという時のために端にパンを置いておいた。ちょうどよく食器があったのでその上にのせた。


その日は見つからない場所で眠ることにした。

熟睡できないまま疲労がたまって倒れそうになる気持ちを我慢して歩いていく。もう出口がどこにもないという不安がいくら消しても消してもわいてくる。このまま死ねたら楽なのに。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

攻略本を丸暗記しているのに予想外のことが起こりまくる~無惨に殺される主人公の弟を助けて10年間地獄にいた転生者。見た目がラスボスに変わったのに主人公の弟が溺愛してくる件~ シェルビー @shelbyxxx

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ