第3話 実験の日常

実験が始まってから一週間後。俺たちは、だんだんとこの生活に慣れてきていた。


そんなある日の夕方。伊藤はゲーム機で遊びながら、俺に話しかけてきた。


「今日の晩御飯、何にする?」


「うーん。久しぶりにカレーとか食べたいな。」


家事は二人で役割を分担した。食事をつくるのは伊藤の仕事である。


「料理しなくても、神が食べ物出してくれるんじゃない?」


「いーのいーの。あんまり神の力に頼ってちゃだめだよ。」


こんな感じで、俺たちはできるだけ神の力を借りずに生活している。


あんまり神に頼っていたら、元に戻った時、かなり不便になりそうからだ。


といっても、たまに家事がめんどくさくて神にお願いすることはある。


「神様―。二人分のカレーの材料用意してー。」


「はーい!」


そうして、カレーの材料が用意された。この神。一家に一台あれば、ドラえもんと匹敵するほどの便利さである。伊藤はカレーを作り始めた。


「なぁ伊藤。」


「何?」


「案外この生活もいいよな。周りの事を気にせずに、のんびりと暮らせるから。」


「んー。確かに悪くはないけど、友達とか家族とかに会いたいかな。」


「そういえば、あいつら今なにしてるんだろうな・・・。って、時間止まってたんだっけ。」


実は俺たち以外の時間は止められているらしい。おまけに実験が終わったら時間が戻るのだから、神の力のヤバさを改めて思い知った。


「もし俺たちがこの家の外に出れたら、それもそれで楽しそうだよな。」


「んー、でも神様から禁止されてるからねえ。」


実は、家の外に出る事は神様から禁止されている。というか、結界があるから出れないらしい。


「ふう、終わった終わった。」


どうやら、カレーの準備が終わり、後は煮込むだけらしい。


「カレー煮込み終わるまで時間かかるしさ、一緒に遊ばない?」


俺達は神の力を借りて遊ぶ事にした。



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