第2話 神

「宅配便でーす」


「!?」


なんと、宅配便の配達員の声がしたのだ。俺は急いでドアの方へと向かった。

ドアを開けたが、やはりそこには闇しか広がっていなかった。


「佐藤くん。下に何か落ちてる。」


玄関の下を見てみると、何やら物が入っている段ボール箱が落ちていた。

俺たちは段ボール箱を開ける事にした。


「なんだろう。タブレットかな?」


中にはタブレットと思われるものが入っていた。



「電源ボタンあるね。押してみよっか。」



俺はタブレットの電源を押した。すると、覆面を被った謎の人物が画面内に現れた。


「こんにちは~。多色々と困惑してるよね!今から色々と説明するから!」


「あなたは誰ですか?」


ちなみに、画面が通話アプリのものだったので、この謎の人物とビデオ通話でつながっているらしい。


「僕?んー。この世界の神ってところかな?」


なんだそれ。見た目的にこいつはただのYouTuberにしか見えない。


「本当に神様なの?ちょっと信じられないな。」


少女は、目の前にいる人物が神であると信じていないらしい。まぁ、俺自身もあまり信じていないのだが。


「じゃあ僕の力を見せてあげるよ!何か欲しいモノを言ってみてごらん。」


「そうだなぁ、じゃあ、シャーペンとか?」


「はいはい、シャーペンね~。はい、どうぞ!」


すると、急にシャーペンが俺の目の前に現れた。どうやらこいつが神みたいな存在であることは本当だったようだ。他にも不思議な力をいくつか見せてもらった。この神は、自分が思ったことならなんでもできるらしい。


だが、俺には疑問があった。


「神みたいな存在だってことは分かったけど、なんでこんな状況になってるのか教えて欲しいです。」


「あなたならこの状況、どうにかできるんじゃないですか?」


「そのことについてだけどね、君たちは実験体に選ばれたんだ!」


「へ?どうゆうこと?私たち、モルモットみたいに実験されてるの・・・?」


伊藤は少し怯えて俺の方に寄って来た。


「安心して!別に殺したりするわけじゃないから!」


「じゃあ、一体何のために実験をしてるんですか?」


「これ、世界が滅亡仕掛けた時のための、最終手段の実験をしてるんだよ!」


神?によると、俺たちの周りを包んでいるのは黒い結界のようなものらしい。ミサイル、隕石、ウイルスなど、あらゆるものを弾き返してくれるものだそうだ。


「なるほど、何かあった時に家を結界で包んで、その結界が上手く作動するかどうかの実験ってことなのか。」


伊藤は何やら深刻そうな顔をしながら、神に向かって言った。


「でもさ、今まで何でこういう力を使ってこなかったの?あなたの力を使えば戦争とかだって止められるんじゃないの?」


「あなたの力があれば、世の中の嫌な事だって、醜いところだって、全部、全部、どうにかできるんじゃないの?」


その時の伊藤は、まるで親を殺された時のような顔をしていた。急に態度が変わっていて少し怖かった。


「怖いなぁお嬢ちゃん。これにもちゃんと理由があるんだよ。」


「できるだけ、僕みたいな存在が君たちに関わることは止めた方がいいんだ。最悪の場合、規約違反で地球ごと消されてしまう。」


どうやら宇宙には法律のようなものがあるらしく、違法行為が見つかってしまったら、何らかの罰が与えられるらしい。


「じゃあ、この実験は大丈夫なんですか?」


「うん!宇宙のお偉いさんから許可をもらっているからね!あと、世界が滅亡しかけるような事があったら、僕が君たちに関与して良いことになっていいるんだ!」


「ごめんなさい・・。私、何も知らずに酷いことを言っちゃいました・・。」


「いーよいーよ!仕方ないって!」


「俺、最初は何が何だか分からなかったけど、少し状況が理解できました。」


「私も。」


まぁ、夢って可能性も考えたが、残念ながら本物の現実のようだ。


神は俺たちに実験の事を色々と説明してくれた。


これから俺たちは、一年間二人で共同生活をすることとなった。電気、水道は使えるが、テレビやネットといったものは使えないらしい。


だが、神を呼べば大抵のことはしてくれるらしいから、生活で困ることは無いだろう。


この生活が終われば、俺たちは元の世界に戻ることができるらしい。

現在俺達以外の時間は止まっており、実験が終われば、時間軸も実験前に戻るそうだ。


疑問点はまだまだあったがとにかく、俺と伊藤の奇妙な共同生活が幕を上げた。


神は、悲しげな表情で独り言を言う。


「ふぅ、まさか、この子達が選ばれるなんて。これが、運命ってやつなのかな。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る