ステイ・ホーム

@akinakakaka

第1話 実験の始まり

高校二年生である俺、佐藤光はいつものように起床し、いつものように朝食を取り、いつものように通学のための準備をした。


そして、いつものようにドアを開けた時のことだった。


「は?」


意味が分からなかった。目の前の光景がとてつもなく異質だったのだ。自分の理解の範疇を超えていた。


「なんだこれ」


ドアの向こう側の光景は、闇に包まれていた。いつものようにみえる庭も、向こうの家も、何もなかった。あったのはただの闇、黒である。一体、何が起きているのだろうか。


俺は、二度寝することにし、自分の部屋へと向かった。


ガチャ。


まぁ、ドアを開けた時よりかは現実味があった。だがまぁ、これもこれで現実味が無いというか。


「なんでいるの?」


「私の方がわかんないよ・・・。」


俺の部屋には、知り合いの女の子がいた。

別に、友達というわけでも恋人というわけでもない。ただの知り合いだ。

彼女の名前は伊藤楓。俺と同い年で、ただの知り合いである。


しばらく話し合って、俺たちは少しだけ冷静になった。ということで一緒にドアを開けにいく事にした。


ガチャ


「わぁ本当だ。なんかその、闇だね。」


確かに闇としか言いようがない。というか、一体これはなんなのだろうか。


「手を出してもぶつからないから、壁ってわけでもないんだよな。」


「うーん。なんか投げてみたら?」


「それもそうだな。」


俺はそこら辺にあった新聞紙を丸め、闇へと放り投げた。


投げた新聞紙はだんだんと見えなくなっていき、最後には闇に飲まれたように消えてしまった。


「おいおい、これは外に出たら危なそうだな。」


実際、何が起きるのか全く分からない。この闇に身を投げるのは止めたほうが無難だろう。


「窓、開けてみたら?」


「確かに。窓から見える風景は普通なんだよな。」


そう。ドアを開けた先の風景は闇だったが、窓から見える風景はいつもと変わりが無い。


ガラガラ。


窓を開けたら、そこにはまた、闇が広がっていた。


窓を通せばいつもの風景が見えるのだが、窓を開けると、途端に闇へと変わってしまう。


「本当に何がなんだか。」


「私がこの家にいるのも分からないし。」


本当に謎だらけで困る。これからどうすればいいというのか。


その時だった。


「宅配便でーす」

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