精緻な色彩に包まれた裸婦の美、真摯に見つめる若者、ふたりの描く物語

そこそこエロティシズムはありますが、それを上回る裸体の美が描かれています。
性的な感情も、人間として当たり前のものであることを前提としつつも、美を追求する若者の美に対する誠実な眼差しがそれを「芸術」へと昇華させていきます。

日本画を中心に、散りばめられる様々な色彩や画材、丁寧な描写に、実際に主人公と共にその美を描いているような思いにすらなります。

ごく普通に性的な興味も持つ主人公ですが、絵に向き合う時には芸術家の目に切り替わる様子は、とても親近感が持てます。

刹那的なモデルの女性が主人公に本音を告げて、ふたりが身を寄せ合うように愛を育むさまは、その場面だけでも一幅の絵画のような美しさです。

性的な表現もありますが、それを上回る日本画の美しい世界に浸ってみてください。

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