とても綺麗な文体で緻密に描いています。それが、この物語ととても絡んでいて、美しいです。きっと抜群の相性なんだろうなぁと思います。
タイトルとキャッチコピーの印象をいい意味で裏切られ、一瞬でその世界観に魅了されました。どこか精彩に欠けた日常を送る美大生の保。そんな保の日常は、画のモデルとして現れたある女性の存在によって変化をみせます。色褪せた日常に差し込んだ光は、決してパッとした明るさのものではないけれど。絵師とモデルの関係性で、段々と互いが溶け合うように、沈むような感覚に陥る描写は、まさにみるくせいきそのもので。どこかクラシックな雰囲気の似合う、そんな艶やかな作品でした。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(341文字)
最初は他の作品のようにただ性描写を描いただけかと思ってブラウザバックする人もいるかもしれないが、それは大きな過ちである。本作は主人公の苦悩と一人の女性の思いがしっかりと文章に載せられている。故に官能小説のような悪戯に性的興奮を惹起させるのではなく、そこに秘められた本人たちの思いを読者に感じさせることで性的興奮を超えた、一種のカタルシスを与えることになるだろう。本作は短編で短い内容ながらも非常に精巧に作られた若き男女の物語である。ぜひ手に取ってご一読願いたい。
最初の一行を見た瞬間、エクセレントだと確信しました。冗談はさておき、半分本気だが、この作品は、真実の恋と言ったらいいのか、愛と言ったらいいのか分からないが、それらに優しく手を添える様に表現している作品。一行目に見え隠れする人間の純真さを、作者が繊細に丸裸にしていく描写は圧巻。読み終えてみれば、最初の衝撃を、ふんわり包んでくれて、最後まで読んでよかった。
面白いです