第3話 振られることが分かっていたんだ…

そう、今日はあいつらの告白タイム。そして俺らは(なぜか、太っちょの方と一緒に経過を見守ることになった)

「あ、来た来た。」

優紀と先輩。彼女は心配そうに見守っている。

「優紀は、部活で先輩に認めてもらうっていつも頑張っていたの」

だけど、俺はその結末をわかっている。


あいつ…林田 昭人に話をした時「二人は吹奏楽部の後輩なんだ。何もわからないところから一つ、一つ教えてきた」頭の中の思い出を取り出すようにすこし遠い目をした。そして今は、来年の俺らの卒業にむけて特訓をしている。

あいつは目を輝かせて「どっちのほうだ?太っちょか」と、聞いてきた。

目の離れた方だって言うと、おもむろにがっかりした顔をしてみせた。そのリアクションはわかりすぎるだろう。

それでも「告白タイムは受けろよ」と念を押して教室に戻る。


(告白タイム)


告白タイムを見守る中、突然 優紀がこちら側に向かって走り出してきた。

そして抑えたような声で「優美、先輩が話があるって。私に遠慮したら友達の縁きるからね」

突然のことでよくわからないながらも、優紀の緊張感を感じとったのか「わかった」とだけ残して、太っちょの身体を揺らしながら精いっぱい急いであいつのところへかけていった。


優美が完全にいなくなってから彼女は

「だめだったの」と俺に向かって言い同時に涙がぽろぽろ落ちてくる。

今まで、我慢してたのか。肩を震わせて涙でぐちゃぐちゃになった顔は目が離れているせいか不細工だった。でも肩を震わせて友達から見えないように泣く姿は守ってやりたくなる。

そうよく女子が使う…ぶさかわってこういうことなのか、と理解した。優紀の肩に手をかけて「よく、我慢したな」と我ながら男らしい言葉が自然に出た。

「先 輩、ありがとう つきあって くれて。成立し た よ」とぎれとぎれの言葉。溢れてくる涙。無理に笑おうとする顔。

「もういい、喋るな」どこまで周りに気をつかうんだ。こんな状況で…。思わず、抱きしめた。

それと同時に俺は恋におちた。


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