第2話

ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ…………


手のひらサイズの小ぶりなタイマーがふたりの時間を止めた。


「もう時間になっちゃったね。」

私はアラームを15分にセットすると、タオルを準備し始める。



東京、新大久保。

大通りに面した駅の切符売り場の前には中国語と韓国語が飛び交い、若い男女が示し合わせては足早に去っていく。

雑多で国際色豊かな、音白い街だ。


「お先にあがります。」

「はーい。風子ちゃん、また今度ね。」


ピロロロロロロロロ♪

「お電話ありがとうございます、

はーとふるサービスです。女の子はお決まりですか?」


私は待機所のマンションを降りると

駅前のアパレルをさっと見て、人を避けるように大通りを歩いていった。

海外の怪しげな食品屋さんを横目に雑多なビルを抜け、黒塗りの少ししなびた建物に入る。


静かな足場を地下に向かって降り、扉を開けると途端にさまざまな電子音が混ぜこぜになって押し寄せる。


真っ黒な空間にピンクや水色や白色の煌びやかな色が弾け、パチパチと音を立てて光が交錯する。

画面の光がバイオレットと黄色と水色にブレて、ばらばらといるお兄さん達の顔を照らしてそのシルエットをたびたび映し出した。


暗がりにびっしりと列を連ねるモニター。

それぞれに異世界のキャラクターが浮かび、未知の世界が映し出していた。


私はさっき貰った封筒の中身を確かめると、中から小銭を取り出し、楽しい世界に入っていった。

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風俗嬢風子のただならぬ夜 風子 @vix

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