◇麦藁色②◇麦わら帽子とあの夏の日
一年生男子は
明るくて、ちょっとヤンチャではあるけど、リーダシップのある
お調子者だけどムードメーカーな
そして、一番大人しそうな天然パーマで童顔なのが
ヒョロっと細くて小柄で、他の二人以上に、まだまだ学生服に着られているという感じです。
三人は友達で、本当は科学部があれば、そちらに入りたかったんだそう。
でも、部活説明会で美術部では七宝焼や陶芸もできると聞いて楽しみにしていたということでした。
「実は、僕ずっと油絵とかアクリル画がやりたかったんだよね」
「へぇー! そうだったんだ。そういえば俺たち、科学部がないってわかって、どこに入ろうかって考えてたら、
と
「うんうん、
夏休み、部活で、部員募集のポスターをみんなで描きながらおしゃべりです。
「
聞かれて
「そうねぇ、やっぱり絵を描くのが好きだったし、ウチの中学校って陶芸の
「入部してから、七宝焼も木彫りも体験させてもらえたし油絵も描いたけどねぇ。三年生の先輩たちは引退したし、わたしと同じ時期に入部した子は、ほとんど来ないまま辞めてテニス部に行っちゃったし」
「このまま、わたしひとりだけだと廃部になっちゃうのかなって心配してたの。だから、君たち一年生が入部してくれて、すごく嬉しかったし、ホッとしたんだよ。ありがとね」
ニコッと笑って言うと、三人は赤い顔をして照れくさそうに、ポスターの続きを描きはじめました。
その日、最初に
「先輩、まだ描くんですか?」
「うーん、あと一枚だけ。もう少しで出来上がるから。
顔をあげずにいう
「じゃあ、僕ももう一枚描いてから、片付けを手伝います」
と、もう一度、筆を手に取って書き始めました。
三十分後――
描き終えたポスターを乾くように吊るして並べてから、二人は絵筆とパレットを洗って後片付けを済ませました。
部室の鍵をかけて、職員室にいる顧問の竹田先生に鍵を戻しに行きました。
「ありがとうございました、失礼します」
「おう、気をつけて帰れよ」
先生に挨拶をして校門を出ると、辺りは少しずつ暗くなっていました。
家の方向が同じだとわかってからは、
この日も好きな本やアニメの話をしながら自然に並んで歩きだしました。
この日は珍しく風か強い日でした。
学校近くの坂道で突風が吹いて、
慌てて頭を手で押えた
その時、
「はい、先輩!」
少し息を切らせながらも笑顔で帽子を渡してくれた
「ありがとう!」
とお礼を言うと、
「どうしたの?」
不思議に思った
「先輩、やっぱり覚えてないんですね。でも……しかたないですよね」
「??????」
「――僕、本当は前から先輩のこと知ってました」
「えっ!」
「あれは僕がまだ小学生の頃で……」
「あの時も帽子が……レースのリボンがついた麦わら帽子が風に飛ばされて、ワンピースを着た女の子が慌てて追いかけていて……」
「僕がつかまえて渡してあげたら、その子、ありがとうってニコッと笑ってくれた」
「それが
「――僕の……初恋でした!」
一瞬、風が止まりました。
それだけ思い切ったように言うと、
あとには、ポカンとした顔の
この
◇黄色にまつわる物語◇ つきの @K-Tukino
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