第3話襲撃と悲劇
ソフィアを連れ去られ、きのこを回収し別荘に戻った。
「ただいま」
元気のない二人の挨拶が部屋中に広がりそれが余計暗くさせた。
二人の挨拶にアルフレッドの返事がなかった。そのためソフィアは二階に行き探しているとソフィアの悲鳴がシオンの耳に届いた。すぐにシオンはソフィアのもとに駆け寄るとアルフレッドの死体が二階の廊下にあるのを目にした。アルフレッドは血だらけでうつ伏せになっていた。
「きっと私がわがままで二人を探して、わがままで別荘に……だからこんな目にあったのかな。アルフレッドもミーラも私のせいで……」
そういってソフィアは涙を流した。
「そんなことはない。ソフィアは何も悪いことなんてしてない。悪いのは殺した奴だ。きっとさっき遭遇した奴がこの悲劇を起こしたんだ。そいつが悪いんだ。違うか?」
シオンは死体からソフィアを遠ざけたほうがいいと判断して一階のリビングに移動させた。
「魔術軍に要請をしたほうが……」
「意味ないよ。もうおじさんに乗っ取られているから。だからあなたを頼ったの」
その言葉を聞いたシオンには、頼ったのにどうして守れないのという続きの言葉が聞こえた気がしていたために居心地が悪くなった。自分は責められているという解釈をしてシオンは自分を責めた。ただソフィアはシオンを決して責めてなどいなかった。
「もううすうす築いていると思うが、俺たちがカリュバンに襲われていたのは、アルフレッドを殺すための罠だったんだと思う」
「罠?」
「あぁ。でもこれで終わりではなくてまだ続きがあるんだよ」
シオンはいろいろ考えていると最低最悪の事態のことが脳裏によぎった。
「まずい」
シオンは立ち上がった。それにソフィアは少し驚く。
「どうしたの?」
「もしかしたら国王が危ない」
「まさか」
ソフィアも想像できたのだろう。
「いそいでここを出て王宮に向かおう」
シオンは立ち上がり、アルフレッドの遺体のをソフィアに見せないように一人で処理をした。
馬車に乗り込むとシオンはソフィアに声をかけた。
「犯人というか国王の弟の仲間に誰がいるかわかるか?」
ソフィアは手を顎に当てて深く考えた。
「自分の予想だけど、軍の総司令官のロルック・エニーシェ、もしくはその一家。おじさんの一家もそうかも。おじさんとロルックは繋がってると見ていい。最悪私たち一家以外はみんな繋がってるかも」
「そうかその可能性もあるんだな。周りが全てソフィアの敵でも俺は必ずソフィアの味方だから」
シオンの発言でソフィアの顔がリンゴのように真っ赤になった。それを見たシオンも少し頬を朱色に染めた。
「べ、別にいいのよ。無理にそんなこと言わなくても」
シオンは気まずさのあまり思わず咳ばらいをして話を変えた。
「ところでどうして国王の弟のフェルドはそんなに国王のこと嫌っているんだ?」
「噂でしか聞いたことないけど、どうやら自分が国王になれないことの嫉妬みたいなもの、この国を牛耳りたいってところらしいよ」
「支配欲と嫉妬か。もしそうだったら一筋縄じゃいかないな」
「そうね」
その後王宮に着くまでの一時間ほど、ミーラやアルフレッドのことを国王に報告すること。そしてソフィアの幼少期やアルフレッド、国王や家族のことや初めての迷宮階層のことなどいろんな話をソフィアはシオンにした。ただ、シオンは自分の話をしなかった。理由は自分の話よりソフィアのことが気になっていたからである。それと自分の話をすると空気が重くなるだろうとシオンは考えた。
到着して馬車から降りるとソフィアはシオンに声をかけた。
「あの先にお父さんのところに行くでしょ?」
「もちろん。そうするさ」
シオンは伸びをしながらそう言った。
「それにしても何度見ても王宮はでかいなぁ」
「まぁこの国で一番といわれていますからね」
ソフィアは鼻を高くして自慢げに口にした。
シオンとソフィアは二人で王宮に向かった。
S級パーティーから無能魔術師の烙印を押された俺が何故か国王の娘に拾われ覚醒し、国を救う英雄に~「今更お前の魔術が必要だ」と言われても、もう遅い~ 白紙 @kyuuteinohimo
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