クラクション
ウッチー
クラクション
「ピピーッ!」
突然、車のクラクションが鳴らされた。
そして、車の前方にはきゃしゃな男子大学生。
(な、なんだ…っ!?)
戸惑う大学生。すると、
「お前のアタマの中がうるさい!!バカヤローが!!」
黒ずくめの服に、ヒゲをたくわえて、サングラスをしている中年の、とてもカタギとは思えない男が言い放った。
「あ、アタマの中?何を言ってるんですか?」
動揺を隠せないのは、黒ずくめの男も同様のようで、
「わっかんねーんだよ!俺も!俺が次のヤマを考えてる時にお前の歩いている姿がたまたま目に入って、「あなたは悪人だ」「あなたは地獄に堕ちる」「すぐに行いを改めろ」ってお前の、ココロの声!?が耳に入って、うるさくてショーがねぇ!!」
「ぼ、僕はあなたのことなんて知りませんし、そんなことは、考えても、思ってもおりません。おじさん、お疲れでは?」
大学生は正真正銘、嘘の無い瞳でそう言った。
「かあー、そうだよなあ、そうなんだよ。そんなワケないんだよなあー!クソッ!俺、精神科行った方がいいのかも知れねえ。」
そして、黒ずくめの男は去って行った。
そして、次の日、また次の日、とまたありとあらゆる車にクラクションを鳴らされる日々が続いた。
大学生は無意識下での、精神的確信犯であった。本人に自覚は無くとも…。
〜了〜
クラクション ウッチー @UttiE
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