春呼び神楽

スズヤ ケイ

春呼び神楽

 一つ ひらりと おとが舞う


 二つ 重ねて  がくとなる


 三つ 並べりゃ うたげよな


 四の五の 言わずに そら 歌え




 寒さに こごえて ちぢんだ 四肢しし


 芯から あたため ほぐして 踊れ



 地を這い 舐めた 辛酸しんさん 忘れ


 ひらけた 明日を 喜び 騒げ




 待ちに 待ったる 春が来りゃ


 願って 止まぬ 光射す



 この歌 まいが 一つありゃ


 穴倉あなぐら 暮らしも 悪かない 



 揺れる 白衣しらぎぬ すそ ひるがえ


 袖を 振っては 拍手はくしゅ 



 ねぎらい にぎわい 呑めや呑め


 一夜ひとよ限りの 無礼講ぶれいこう



 老いも 若きも へだてなく 


 一夜の 極楽 味わい尽くせ




 一つ つまんだ の針


 二つ とおした  がくの糸


 三つ い付け はなやかに


 四の五で 着飾り やれ 踊れ




 拍子はずれも なんのその


 幾重いくえに たばねりゃ そうとなる


 雑音 騒音 気にすりゃ 負けよ


 なにせ 今宵こよいは 無礼講



 それ 踊れ そら 踊れ 


 舞い上がって 笑え


 ほれ 踊れ ほら 踊れ 


 声張って 歌え



 冬を 乗りきりゃ すぐに来る


 今日を 生き抜きゃ きっと来る



 雪解け せせらぎ 緑の芽吹き


 遠からずして 拝まんと


 祈りを 込めた 神楽舞




 一つ ほうじる おと鳴らし


 二つ けんじる がくとして


 三つ ささげる 舞い踊り


 四の五で 神さん やれ 来たれ



 いざや この舞い 照覧しょうらんめされ



 小さき者の 小さな願い


 ちょいと 聞き入れ 降りとくれ



 春待ち人の ささやかな


 春を焦がれる あでやかな


 一世一代 今宵限りの


 春呼ぶ 宴 


 華神楽はなかぐら



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春呼び神楽 スズヤ ケイ @suzuya_kei

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