第2話出会い②

「......」

「......」

部屋の中で重い沈黙が続く。

どうしてこうなったかは10分前にさかのぼる。






「こちらこそお願いします。」

落ち着いた声のトーンで挨拶を返したが内心とても驚いていた。

学校一の美少女が隣に越してくるなんて、夢に思わなかったからだ。

驚いている僕に追い打ちをかけるように彼女はオロオロしながら衝撃的なことを言った。


「今晩だけ浅野君の部屋に泊めてもらえませんか。」


一瞬僕には彼女がなんていったのか理解できなかった。聞こえてはいたのだが、あまりにも衝撃的すぎて脳が理解できなかった。そして、数秒間かかって理解した。

いや、「どういう展開?」と突っ込みたくなったが彼女に理由を聞いてみる。


「引っ越し業者のトラブルで荷物が届くのが、遅れて明日になったんです。なので、部屋に布団もなくてこのままだと寒くて体調を崩して明日のテストを受けられないかもしれないんです」


あぁ確か明日テストだったなと思い出しながら、泊めさせてあげようか考える。

「七瀬さんは成績を落とさないように頑張ってそうだし、その努力が無駄にならないように泊めさせてあげよう。」と思い「いいよ」と返事をしかけたとき重大な問題に気がついた。もし泊めてあげたら今晩二人っきりじゃないか!僕は緊張するだけなのだが相手にとってはいやかも知れないと思い七瀬さんに確認してみる。


「ぼく一人暮らしだけどそれでもいいならとまっていってもいいですよ。」


すると彼女はほっとした表情を浮かべこういった、


「もちろんです。ありがとうございます」





ということがあって家に上げたのはいいものの、今まで何のかかわりもなかったため、話す話題がなく沈黙が続いている。

僕の部屋ははたから見ても綺麗だといわれるくらいには整えてあったためよかった。

しかし、布団は1つしかないためどうしようかなと考えていたら、彼女が僕に話しかけてきた。


「どうしてただのクラスメイトの私を家にとめようとおもったんですか?」


「七瀬さんって成績がいいから、努力していると思うけど体調を崩してそれでテストが受けれなかったら努力が報われないなと思ったから。」


本心で答えた。

僕も疑問に思ったことを聞いてみる。

「七瀬さんこそどうしてただのクラスメイトの家にとまろうとおもったの?男の家に一人で泊まりに行くのはだいぶ危ないと思うんだけど。」


彼女は少し間を開けて話し始めた。


「体調を崩したくないっていうのもあったけど、浅野君に恩返しがしたくて。」


僕は恩返しをされるようなことをした記憶がなかった。「?」見たいな顔をしている僕を見て彼女はこう言った。



「いつか思い出してね。」


僕にはその言葉の意味が理解できなくて彼女の顔を見た。

僕の方を見ている彼女の顔はなぜだか、とても懐かしく感じた。

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隣に越してきた女の子は、学校一の美少女だった @toiton

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