隣に越してきた女の子は、学校一の美少女だった

@toiton

第1話出会い①

ある土曜日の、ある朝。

浅野悠はいつもの日課である読書をたしなんでいた。読書は彼にとって数少ない趣味である。

彼は、田舎出身だが、人付き合いが苦手で、人間関係が悪くなり、高校進学と同時に逃げ出すように都会に来た。

しかし、都会でも人付き合いが苦手な事実は変わらず、高校でもぼっち生活をおくっている。

そのため、学校でも読書ばかりするようになりいつしか、趣味と呼べるものになっていた。

読書を始めてから一時間ほど経った頃、突然インターホンが鳴った。

僕は学校でもぼっちのため休みの日に遊びに来るような友達は当然おらず、必然と親か郵便かという悲しい思考になってしまう。

そんな事を思いながら、ソファーから腰を上げ、玄関に向かった。


「おはようございます」


ドアを開けたとたん親でも郵便屋さんの人でもないと思われるおとなしい女の子の声が僕の耳に入り込んできた。

僕は反射的に、「お、おはようございます」と答えた。僕に女の子の知り合いはいなかったはず、と考えていると


「浅野君だよね」


彼女は落ち着いてそういった。


「えっ、七瀬さん?」


聞いたことのある声だったので僕は驚いて、裏返った声で答えてしまう。

声の主の名前は七瀬陽菜。僕と同じ学校のクラスメイトだ。クラスメイトといっても、一回もしゃべったこと話したことがない。彼女は成績優秀、容姿端麗な完璧人間だ。

なので僕とは当然なんの関わりもない真逆の存在だ。

自分で言うのもなんだが、僕は学校でも友達もいなく、空気のような生活をしているため、普通誰の目にもとまらないのが普通だが彼女が僕の名前を覚えていてくれていて少し嬉しかった。

そんな彼女がなぜ僕の部屋に来ているのかという疑問だが、自分の頭をフル回転させて考えても分からない。なので彼女に聞いてみる。


「なんで七瀬さんが僕の部屋に来たの?」


すると彼女は落ち着いた声でこう言った。


「今日、隣の部屋に越してきました。よろしくお願いします」

これが僕、浅野悠と彼女、七瀬陽菜の出会いだった。

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