どんと焼きの櫓が年々低くなる件について

 こんにちは&こんばんは。

田舎で農家見習いをしつつ、パートもやっている小烏と申します。


 なんと1月がもう終わりましたね。


 ねえ、この前ではありませんでしたか?「明けましておめでとう」「今年は大変な幕開けになりましたね」ってご挨拶したの。気のせいか年々月日がたつのが早くなる気がします。


 さて、今回の話題は(遅くなりましたが)「どんど焼きのやぐら」です。「どんど焼き」、地方によっていろいろなスタイルがあるのではないでしょうか?皆さんのところはどんなどんと焼きなのでしょうか。


 小烏が子どもの頃住んでいたところでは、小学校の校庭に竹で四角な囲いを作っていました。そこに書き初めで失敗した半紙とか、正月飾りを入れて燃やしていました。灰が舞って天高く飛んでいくと願いが叶うとか言っていたように思います。


 さて、こちら夫の田舎では神社の境内に竹で高いやぐらを組みます。


 どんと焼き当日の早朝、各家から男衆が一人ずつ神社に集められます。そのまま軽トラで山に竹を切りに行くのです。真っ直ぐに伸びたいい竹(神職さんがご指名)を数十本切って来て、境内にやぐらを組むのですが、立ち会ったことはないのでどうやって作るのかわかりません。


 20年ほど前、まだ義父が健在だったころのやぐらは、底辺が四畳半位の大きさで高さは本殿より高かったと記憶しています。見上げる先端に紙の飾りがたくさんついていて、竹に藁の束を編み込むように組んであり、櫓を締める藁縄を何重にも巻いて「伝承された技術」なんて言葉を思い出す物でした。神職さんが自慢げに、「やぐらは毎年恵方の方向に倒れるのだ」と言っていたことを思い出します。


 お参りに来た人がそれぞれお札やお飾り、書初めなどを思い思いにやぐらに突っ込んでいました。青年団や婦人会、子ども会がテントを建てて、かす汁や蕎麦、おこわ等を振舞っていました。確かお神酒と言って一升瓶も数本。人の手を渡っていたように思います。


 お祭り気分のなか太鼓の合図で神職さんの祝詞が唱えられます。そして年男、年女が呼ばれて、四方からやぐらに火を点けるのです。


 やぐらは火をつけられた下の方から編み込まれた藁を伝うようにてっぺんまで駆け上がります。やぐらが燃えている間、拝殿では神楽かぐらがかかり最後には飴撒き、餅撒きがありました。大人も子どもも、お年寄りも手を広げ、エプロンを広げ、ビニール袋を広げて拝殿から降って来る餅や飴を受け止めようと殺到しました。これが結構皆さん本気で、子どもの足元に落ちた飴を大人が躊躇なく拾っていました。


 櫓が焼け落ちた後、拾った餅を熾火おきびで炙って食べていました。なかには家からスルメやミカンを持って来て、焼いて皆に配っている年配の方もいました。この地区にはこんなに人がいるのかと思うような賑わいだった思い出があります。


 それからもう20年がたち、やぐらを組むオジサマたちもほとんどが80~70代。年々、やぐらのサイズが小さくなっています。それにつれて参加者も神楽もこじんまりとしてきました。コロナの頃を境に、テントでの食べ物の配布もお神酒もなくなりました。


 どんどんエコサイズになるやぐらは、今年ついにミニサイズに。小さすぎて自立が難しかったのか、三方から支えの縄で引っ張っていました。それでも火をかけられるとパンパンと竹の爆ぜる大きな音を鳴らして(この音で邪気を払うらしい)燃えました。そして恵方の方向に倒れることもなく焼け崩れたのでした。

(今年の恵方はきっと天頂)



 近況ノートに写真があります。



 今年のミニサイズのやぐらと、熾火で焼く餅です。

(割った竹に挟んで焼くのが従来のやり方ですが、今年は餅網を持参された強者がおられました。来年はうちもそうしたいと思います)


 この餅を食べると一年間無病息災でいられるのだそうです。今回義母は参加しなかったので、焼いた餅を持ち帰って食べてもらいました。

 

近況ノートに写真があります

https://kakuyomu.jp/users/9875hh564/news/16818023213153001496



 


 

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