第5話

「おーい、カノエー!」


『ハピ』


明るい声で、カノエは返事をする。


「良かった、ちゃんと声が出てるね。」


私を抱き締めながら、安心したように息を吐く。


『ええ、順調よ、ハピ。』


愛しそうにカノエはハピを抱き返す。何かの呪いだったのだろう、ハピの開発した薬のお陰で、言葉をちゃんと発せるようになった。

そして、その背後にある氷の柱に手を伸ばして触れる。


『こんなにしちゃってゴメンなさいね、ライン―——』


氷柱の中には、とても幼い子供が入っている。

若返った、ラインだ。


『寿命が近くなったら、出してあげる。そして、三人で逝きましょう。』


静かに、静かに、語り掛ける。

大切な人たちに、分かるように。












これはとても奇妙な、愛の話。


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魔女の恋 ななのすけ。 @spookey774

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