依存

 メンヘラにはメンヘラで対応しているうちに、人間の適応能力というのは怖いもので、それが日常へと溶け込んだ。


 未だに、たまにだけど『死にたい』ってLINEがくるけど、麻衣は包丁を持たなくなった。というか、俺が『一緒に死のう』と強引に迫ってくることを期待しているようにさえ思える。


 何なら、直接虐めてって言ってくるほどだ。

 メンヘラというかマゾだな。なんか違う方向に行った気がするけど、あの占い師はこのことが見えていたのだろうか。

 仕事の帰りにあの占い師がいたところを通ってみるけれど、あれ以来、一度も見かけたことはなかった。


 麻衣からLINEがきた。


『私を見て欲しいの』


 俺にしかわからない隠れた言葉。

 麻衣の見て欲しいは、俺を見たいということ。そして、いつでも受け入れる準備ができているということだ。


 俺はシャワーを浴びて体を洗った後、麻衣のアパートに向かった。


 最近は、麻衣からLINEが来るのことが、少し楽しくなった気がする。

 何を伝えようとしているのか、最初はわからなかったけど、こうしてメンヘラ対応をしていくうちに、少しずつわかってきたからかもしれない。


 インターホンを鳴らすと、麻衣が出てきた。


「お帰りなさい」

「ただいま」


 そろそろ同棲も視野に入れるべきかもしれないな。

 また別の問題は起きそうな気はするけど、不思議とそれが楽しみで、麻衣より俺の方がメンヘラなのかもしれない。

 

 

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メンヘラ彼女に振りまわされて 私犀ペナ @Nagatoppp

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