俺を見て
麻衣がご飯を作ってくれるとのことで、俺は麻衣の部屋にお邪魔していた。
案の定ずっと見るように指示されたので、俺の定位置は台所である。
だから、俺も言う。
「麻衣、俺を見て」
「え、いまお肉切ってるから」
「だめ、俺を見て」
俺は麻衣から包丁を取って、体をこちらに向かせる。
視線を逸らしたら怒るくせに、麻衣は俺と目が合うとなぜか視線を下に落とす。
「恥ずかしいよぉ」
「何で逸らすの? ほら俺と目を合わせて」
顎に手を当てて、俺は無理矢理に麻衣の顔を上げた。
だけど麻衣は視線を逸らしてくる。
「こっちを見て」
「しーくん変だよ」
「俺は麻衣に見て欲しいだけ。見てくれないなら帰るよ」
「それはだめ! み、見るから、帰っちゃいや」
麻衣はちらちらと視線を送ったのちに、少しずつ見つめてきた。
そして、俺と麻衣はお互いに見つめ合い……、
何を言うでもなく、麻衣は目をとじて、俺は唇にキスをした。
最初はゆっくりと、次第に舌を絡めて、絡まれて……。
まな板にのった豚肉は放置され、台所で熱く交わし合い、俺は麻衣をベッドへと押し倒した。
ピンク色のエプロンの紐を解き、パーカーの裾をめくる。パーカーの下に何も着ていないのは、いつものことだ。可愛らしい小さなおへそを少し舐めると、腰がビクッと震えた。
「しーくん、しーくんっ」
「麻衣はおへそが弱いな」
「だって、しーくんが舐めてるもん……」
麻衣の頬が赤く、息が荒い。
さっきまで俺を見つめるのが恥ずかしいと言っていた麻衣だが、今はうっとりと垂れた瞳でずっと見つめてくる。
それから麻衣は自分から足を広げて、触りやすいようにしてくれる。
だから俺は麻衣の敏感部を人差し指で軽く、下から上へと愛撫する。
「ん、ふ……」
両手で口元を押さえて声を押し殺そうとする麻衣。
キスのように、触る手も激しくなって、声を押し殺すことのできなくなった麻衣は、必死に首を左右に振って、イクことを何度も教えてくれた。
こんなにも純粋な反応をする麻衣は初めて見た。
いつもなら『好きって言って』とか『抱きしめて』とか指示があったのだが、今は違う。麻衣は全てを俺に委ねてくれている。
行為は終盤に差し掛かり、麻衣も俺も汗を掻きながら必死に交わった。
四つん這いになった麻衣を後ろから抱いて、愛の言葉を囁くと、彼女はすぐにイった。
それほどまでに敏感になっている麻衣はひたすら可愛かった。
お互いにイき疲れ、麻衣は俺の目の前に寝ていて、肩を上下に動かして呼吸を整えていた。
「しーくん、ずるい……」
「何で」
「だって、愛してるって、耳元で……嬉しくて……」
「俺は麻衣のことを愛してる。だからずっと見ていてほしい。もちろん俺も麻衣のことを見るからさ」
「うん……」
お互いに数秒ほど見つめ合い、それからまたそっと唇を重ね合わせた。
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