第14話
デーヴィドくんの腕をどうにかこうにか解いて、気配を薄くする魔法を掛けてもらった。それから魔王様に挨拶し、正面から外へ出た。そこまでは良かったんだよ。けどね、そこからは訳が分からない。空を飛んだかと思えばいつの間にか地下にいて、なんか危なそうな魔物が飛び交ってる所を通り抜けて岩肌むき出しごつごつな山のスレスレを通って、いや、何なんですかこのルートは。嫌がらせですか。
「家への帰り道ですが何か」
--だそうです。
ウィリアムさんは魔物の巣を通り道にしちゃうんだね。岩肌に擦り下ろされそうなくらいすれすれを通るんだね。それが悪魔なんだね。ふーん、そっか。ふーん。
私はさっきから怪我しないかヒヤヒヤしてるけどね。帰り道はまったりな気分で帰りたいタイプ。
「いつもこんな道を通って居るんですか」
毎日こんな所通っていたら大変だよね。ウィリアムさんが家に帰ってる所なんて想像つかないけど。というか、帰ってるの?
「通るわけないでしょう、こんな通りにくい道。たまに家に帰る時は瞬間移動で済ませているのに、貴方の気配を道に残さなくてはいけなくて大変なのですよ。何故か腕が重いし」
私のせいですか。重いのも私のせいですね。ウィリアムさんが私をぶら下げて飛んでるからですね!
生きるか死ぬか、私だけ緊張している。普段、私は自分の力だけで生きてるって過信してたんだろうな。実際は自分の身も守れてないのに。
「そういえば言い忘れていたのですが」
そう頭上から聞こえたのに、続きが無い。
「ウィリアムさん、口がもごもごと動いて--飴でも舐めてるんですか?」
「巫山戯るなら落としますよ」
ウィリアムさん、やっぱり口をもごもごさせてから
「いえ、着いたら説明します」
とだけ言った。
説明か、なんだろう。着いたらメイドになってもらうとかかな。嫌だな、ウィリアムさんの下は。
「ここから落ちたら貴方の体は--なって--が--て魔物の餌食でしょうね」
すみません、すみません、すみません!
怖いなぁ、いろいろと。
魔界に召喚されましたが、その扱いは酷すぎるので逃げようと思います。 らてぃ @bowbow_
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