ユウのプレゼント選び6
「ここがブラン・マルシェルナシー様に言われた通りに買収した土地になります」
さっきの場所から移動すると、めちゃくちゃ広い土地があった。どうやらあそこは建設会社だったようだ。
話を聞いていると、どうやらブラン姉さんは土地を買い家を建てる気だったようだ。
家を買うのかと思っていたらまさか土地と家を建てる気だったとはどれだけのお金がかかるのかは知りたくない。
「うん、良いね。これならユウと住むには充分かな」
「気に入っていただきありがとうございます。それでは今後は私達に任せてもらい、建て終わりましたらご連絡致します」
「お願いね、お金は前金で渡したけど。それだけじゃ足りないよね……?」
「土地の分は頂きましたが、建てる分の費用は金貨五千枚ですね」
「五千枚か、それっていつまでに払えばいいの?」
「そうですね、建て終わった時で結構ですよ」
「そっかそっか、じゃあ後は任せたよ」
ブラン姉さんは金品を胸に着けた人を置いていき、さっきからずっと待っている姉さん達の所に行くのだった。
「まさか家をプレゼントするとは、ブランお金をかけすぎでは」
「そんなにかけてないよ、だって姉さん達だってユウと一緒に住みたいでしょ」
「うん、私はいいと思うよ」
「それでこれからどうするの全員プレゼントしたようだけど」
「それなら考えてます、もう夕方ですからねいい店を予約してるので、そこで食事にしましょう」
いい店と言うと高い所を想像してしまう、姉さん達に連れられ、その食事する場所に向かったのだが予想を越えていたらしい。
「あぅやあぅや」
「ユウが嫌がってるようですね」
姉さん達が入ろうとしている店は完璧に赤ん坊が入ってはいけないような場所だった、だから抵抗してドアに張り付いていた。
「ユウ、お姉ちゃんお腹空いちゃったから入ろうよ」
ブラン姉さんが頼んでくるが、ここで負けてはいけない。
「あの……マルシェ家のお嬢様達でも、ここに赤ちゃんを連れてくるのは」
「クラ姉さん、店員さんがこう言ってるけど」
ミカロ姉さんが店員に確認していた、するとクラ姉さんはすたすたと店員に近づいていた。
「いいですか、私の事は知っているでしょう、いつもこの店で問題が起きたら助けてるのは誰でしょうね?」
「それは騎士団長であるクラ・マルシェルナシー様ですが、さすがにまだユウ・マルシェルナシー様は二歳ですよね……? さすがに……」
「クラ、ユウが泣き出しちゃった」
「ええ!? そこまで嫌なのですか、仕方ありません。ここは違う店を探すとしましょうか」
「すみません、またお待ちしておりますので」
「あぅぅぅぅ」
最後の奥義である嘘泣きで姉さん達を騙し、店から出してくれた。
あの店は赤ん坊厳禁な事は分かりきっていたが、入る前にメニューが見えたが値段も高すぎた。
今日は姉さん達にプレゼントも買ってくれたのに、そんな店で食事をしたくなかった。
「うぅぅ……お腹空いたよ、これからどうするの?」
ブラン姉さんにも悪い事をした、ブラン姉さんのお腹はさっきからぐぅぅぅぅと鳴りっぱなしだった。
「はいユウ、キャンディ舐めてていいよ」
シル姉さんはポケットからキャンディを取り出し口に入れてくれた、コロコロと口の中で転がしながらその甘さを確かめていた。
「あぅ」
「今から場所を探すとなると時間がかかりますからね」
「あれ、団長こんな所で何してるんですか」
すると白服仮面が現れクラ姉さんに気づいて声をかけた。
「あなた達こそ一体何をやってるんですか?」
「今日は騎士団で食事会するんですよ、話してませんでしたっけ?」
「いえ、聞いてはいましたが、これからやるんですか?」
「そうですよ、良かったら団長も来ますか?」
「いえ、私は今日は」
「行きます!!」
クラ姉さんより先にブラン姉さんが決めてしまった。
「ブラン勝手に決めないでください。今日は姉弟水入らずで過ごしているのでまた別の機会でそれでも羽目を外すしたらダメですからね」
「了解しました、失礼します」
白服仮面は歩いていき、見えなくなった所でブラン姉さんがよろよろと倒れていく。
「もうダメだ力が入らなくなった、クラ姉さんおんぶして」
「嫌ですよ、なんでおんぶなんてしなければいけないんですか」
クラ姉さんとブラン姉さんが話していると仄かに甘い匂いが漂ってきた。
「これってまさか!?」
ブラン姉さんは即座に立ち上がり、その匂いがする所まで走っていった。姉さん達もその後を追うと、そこには屋台トラックが停まっていた。
「これはクレープ屋さんですか?」
「遅いよ皆、もう皆の分も注文しちゃったよ」
ブラン姉さんは声を上げて、姉さん達に気づかせていた、甘い匂いの正体はクレープだったのか。
「クレープならユウも食べれるね」
シル姉さんの一言で姉さん達の目がギラリと光った、これはヤバい気がした。
「クレープの味はブランに勝手に決められましたがユウに食べさせるのは一体誰でしょうね」
「私だよ、だってユウを抱いてるのは私なんだから」
「ええ、私もユウに食べさせたい」
「私も、私も」
「ここはやっぱり公平にゲームで決めるべきじゃない」
「賛成です、ユウもそれでいいですよね」
ミカロ姉さんは確認するように聞いてきた、一人で食べてみたいが、まだ早すぎるし食べさせてもらうしかないか。
「あぅあ」
「ユウも分かったみたいですし、一体何のゲームで決めましょうか」
「私にいい案がある」
シル姉さんは俺を抱きながらある物を作り始めた、すると出来たのは箱と数枚の紙だった。
「この紙に全員の名前を書いて箱に入れてからユウに引かせるの、ユウが引いた紙に書いてあった子が食べさせられる」
「殆ど運勝負ですね、そのゲームでいいでしょう」
そして姉さん達が書いた紙を箱に入れ終わると、クラ姉さんが箱を差し出してきた。
「さあ、ユウ一枚引いてください」
箱の中に手を入れ、数枚ある中から一枚を選んだ、それをクラ姉さんが確認していた。
「クレープをユウに食べさせられるのは」
一体誰が食べさせるのか、クラ姉さんか、シル姉さんか、ルミ姉さんか、ブラン姉さんか、ルンキ姉さんか、ミカロ姉さんか一体誰なんだ。
異世界転生して目覚めたらヤンデレの姉達に囲まれた ミナト @imoutominato
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