ユウのプレゼント選び5


「ユウのプレゼントを買いに入るのですが、いけませんか……?」


「ダメに決まってるでしょ!! 何故指輪専門店の店に入るのですか」


「それはユウに指輪をプレゼントするからですが?」


「そんなのいけない、ユウにはまだ指輪は必要ない」


「それなら武器とかもまだ必要ないですよね、それに姉さん達もユウには聞いていましたが、殆どルンキ姉さん以外勝手に行く所を決めてましたよね」


「う!? それを言われてしまっては言い返せません」


「でもユウの指輪を選ぶなら私達にも権限が」


「一緒に選ぶのは反則ですよルミ姉さん、そう決めましたよね」


「今回だけは許してあげましょう、但しユウの指輪以外は買ってはいけませんよ」


「それなら大丈夫ですよ、もう買う指輪は決めてたので」


「お待ちしておりましたミカロ・マルシェルナシー様」


 店に入ると店員が案内してくれた、既に指輪は出され指に嵌められるだけだった。


「それでは確認を」


「それは私にさせてください、他の人にユウの手を触れさせる訳にはいかないので」


「どうぞ、言われた通りの指輪として作り上げています」


 ミカロ姉さんが指輪を受け取り嵌めてこようとした、すると指輪の大きさは完璧に指と一緒で嵌める事ができた。

だが嵌める場所に問題があった。


「あぅあぅあ」


「左手薬指ここに嵌めておくと姉さん達から文句があるでしょうが、問題は解決ですよね」


 嵌めた薬指の指輪を確認しながら、一瞬指輪が光った気がしたが気に止めていなかった。まさかこの指輪がとんでもない物とはこの時は知らなかった。


「ではお会計を、この指輪は特別製なので金貨二百枚になります」


「二百枚ですか、意外に安かったのですね」


 ミカロ姉さんは店員に金貨二百枚を渡していた。


「それではまたのお越しを」


 店員が頭を下げミカロ姉さんが店から出ると姉さん達が集まっていた、姉さん達は指に嵌められた指輪を見ると何か言いたそうな顔をしていた。


「まさかミカロもこんなに強気になるとは思ってませんでした」


「だって私だけユウと殆ど遊んだ事なんてないしこれぐらいは許されるんじゃないの……?」


 確かにミカロ姉さんとは遊んだ事は殆どなかった。ミカロ姉さんはゲームが弱く、多分四度か五度しか遊んだ覚えがない。


「その指輪少し変ですよね? 普通の指輪と何か違う気がします」


「そ、そ、そんな事ありませんよ!? クラ姉さん何を言い出すんですか!!」


「終わった? ねえ終わったよねミカロ」


「ブラン姉さん落ち着いてください、確かに終わりましたけど」


「やったーやっと私の番だ」


 ブラン姉さんが喜び暴れていたので、さっきの話はうやむやになってしまった。


「ごめんね、あの時ユウにあんなの飲ませて、だから今日は特別にユウにはいいの買ってあげるよ」


「ああ、ブラン姉さん、そんな力任せにユウを抱いては危ないですよ!?」


 ミカロ姉さんからブラン姉さんに抱かれたが、ブラン姉さんは姉さん達の中で特に動くのが激しいから、いつも落とされるんじゃないかとひやひやする。


「ああ、ごめんね。さあ行こうかユウ準備はもう出来てると思うから」


 ブラン姉さんに連れていかれた場所は、極悪人っぽい人がうようよしている所だった、しかもその中でもヤと名前が付きそうな所に入っていくのだ。


「ようこそいらっしゃいました、ブラン・マルシェルナシー様」


「久しぶりー今日はあれを買いに来たんだけどもう準備出来てる」


 ブラン姉さんは現れた金品を大量に胸に着けている人にハイタッチしながら聞いていた。


「はい、出来てますとも。それより本当にいいのですか……? あそこは住むには広すぎるんじゃないですか」


「まだ、住まないよ。ユウが大きくなった時の為に買っておくだけだし」


「そうですか、その子がユウ・マルシェルナシー様なのですね。いやあの祭りの時は遠かったので顔がよく見えませんでしたが、さすがご姉弟とてもよく似てますね」 


 いや似てるとかそんな問題は関係ない、今住まないって言ったけど、もしかしてブラン姉さん家を買う気じゃないよね。

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