読者にとってもやさしい親切なミステリ

結騎 了

#365日ショートショート 022

 生徒会・風紀委員の剛田ごうだは、手元のメモ帳にがりがりとペンを走らせている。柔道部の副部長でもある剛田は柔道は男女ともに取り組める競技です。、意外にも花柄の小さいメモ帳を愛用している。そのギャップからか、密かに女子人気は高い女子にチヤホヤされる女子という例もあります。

 ここは昼下がりの生徒会室。が集められ、室内には緊張が漂っていた。

「どうだ、剛田くん伏線です。。君の考えを聞きたい」

 生徒会を担当する教員・有府亜あるふあは、あからさまに面倒臭そうな顔で尋ねた。生徒の自主性とは名ばかり、早くこの件を片付けたいという顔をしている。

「そうですね……。皆さんの主張をもう一度、最初から整理しましょう」

 事の起こりは数時間前。体育の授業中に、女子更衣室で財布の盗難が起きたのだ。女子更衣室の鍵は各クラスの鍵当番、加えて生徒会の女子生徒のみ↓ ここは伏線です。要確認。が保管しているため、該当する者がこの生徒会室に集められた。事情聴取である。

「まずは、A組の栄田えいださんのアリバイから」

 剛田が、スカートを握りしめて萎縮している栄田に視線を飛ばす。低い声で指名声が低い女性もいます。された栄田は、ぎゅっと指に力を込めた。

「わ、私はやってません!」

「大丈夫です。なにも疑っている訳ではありません」

 くいっと、剛田はメガネに指をあてる。脂汗でよくずれ落ちるのだ脂汗は男女を問いません。。内容を確かめながら、ゆっくりとメモの内容を読み上げる。

「栄田さんは、今日はずっとA組の友達と一緒に行動していた。更衣時間の前後も、施錠をする時も、常に友達と一緒だった。間違いありませんね」

「は、はい!間違いありません!」

 過度の緊張からか、栄田の声が上ずる。放送部の部長とは思えない、乱れた声色だ攪乱のための無意味な記載です。読み飛ばしてください。

「じゃあ次は私だね」

 胸元で手を挙げたのは、B組の美育びいくショートカットで色黒、陸上部のエースここも無関係です。読み飛ばして先に進みましょう。である。

「私は、そこの有府亜先生と一緒に更衣室の奥にあったボールを運んだから、その時に鍵も一緒に閉めたよ。アリバイの証人は有府亜先生さ」

 皆の視線が一斉に有府亜に集まる。

「その通りだ。B組の鍵当番は美育だが、彼女が何かを盗ったそぶりはなかった」

 とんとん、とメモ帳をペンで叩く剛田。書いてある内容に誤りはない。がばっと足を組みなおし、質問を続けるわざとらしいミスリードです。先入観を捨ててください。

「じゃあ最後に、C組の椎見しいみさん」

 誰よりも小柄で、まるで小動物のような椎見は、小さな声で反論をする。

「私は、今日は、その……。キーケースを家に忘れてしまったんです。だ、だから……。体育の先生にお願いして、先生に閉めてもらいました……」

「それなんですよね」

 間髪入れず、剛田が詰め寄る。がっしりとした肩幅体格は性別を問いません。が前のめりになったため、椎見は今にも泣きだしそうだ。

「鍵を忘れたと嘘をついて、体育の先生に施錠をお願いする。その後に、隙を見て、実は隠し持っていた鍵で更衣室に入る。そういうこともできますよね。C組の生徒に確認したところ、椎見さん、あなたは授業中にトイレに行っていますね」

「あ、いや、待て剛田」

 有府亜が割って入る。

「C組の体育の先生には、私が確認した。椎見は校庭の端のトイレに真っすぐ行って真っすぐ帰ってきたらしい。トイレは更衣室の反対側にある。窃盗を行うことはできない」

 じわっと、場が弛緩する。それでは、今日体育の授業があったA組・B組・C組ともに、鍵当番の生徒には立派なアリバイがあるではないか。

「ほら、最後だぞ」

 有府亜はあくびを噛み殺しながら、さも当然のように顎で指した。もう結論は分かり切っているだろ、と言わんばかりである。

 剛田は思わず問いなおす。

「先生。最後、とは……」

「最後は君だよ、剛田姫子くんここで真相が明らかになります。。女子更衣室の鍵を保管しているのは、残りは生徒会の女子生徒序盤の伏線の消化です。である君だけだ」

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