常々、ホラーとミステリーは相性がいいと思っていました。そして、この物語もまた、多くの謎を抱えて幕を開けます。
　物語に散りばめられた謎は、やがて綺麗に収束していき、時に語られる死者の視点は恐ろしくあるものの、何処か美しさを伴っています。待っているのは、爽やかとも言える読後感です。

　読み終えた時、ふと寂しさを覚えました。もう少し、この世界に浸っていたい……そう思える物語です。

霊に憑りつかれる描写が秀逸です。読んでいて力が吸い取られる気がしました。
強大な執着で怨霊となった者の怖ろしさが身に纏わりつくように感じられます。
長編ホラーですが是非お読みください。